『レンブラント事件』から想起される『シンコウシングラー事件』。「JRA側の手違い」で失格になった馬の馬券が「不的中」扱いになった事件の全容とは
だが、主催者側となる日本中央競馬会(JRA)はこれらを完全にスルー。後に「競馬法に照らし、返還規定には当てはまらない」との見解を示している。当然ながら、外部に向けた謝罪等は一切なし。上記の払戻し以外、ビタ一文の返還も行なっていない。
それどころか、JRAはレース翌日に裁決委員会を開いて再発防止策を実施すると共に、今回の原因となった柴田善騎手と栗田調教師にそれぞれ罰金を科すことで事なきを得ようとした。
さらに問題視されるのは、本来現場を管理する立場にあった職員(検量委員)の責任を問わなかったことだ。
当然ながら理不尽な事件としてそれなりの騒ぎになったが、当時はネットもまだ一般には広く普及していない時代。広告会社の電通を通じてマスコミを支配するJRAが箝口令を敷いてしまえば、大手マスコミは口を閉ざす他ない。一部、評論家やライターが不服を騒ぎ立てたが、大きな効果は得られなかった。
これが俗に『シンコウシングラー事件』と呼ばれる事件の全容だが、改めて思うのはJRAが如何に”お役所”で「国」が相手になると、我々は道徳を無視した如何なる理不尽を受けようとも泣き寝入りする他ないという事実だ。
だが、いくら騒いだところで糾弾は所詮糾弾であって、革命ではない。
先述した『レンブラント事件』や「やった者勝ち」にも映る現行の降着制度など、「公正」が謳われる競馬には、何故か理不尽なことばかりが山積したままだが、我々ファンはそういうことも認識した上で楽しまなければならない……ということなのだろうか。