芸人ヒロシ「今はワクワク」平成最後にポジティブを手に入れた男の「自由」と「勝負」の人生論【特別インタビュー】
――無駄を省くこと以外で、働く上で大事にされていることは?
ヒロシ:「オリジナリティ」ですね。お笑い自体も基本的にほとんどが”パクリ”なんですよ。落語も漫才も歌ネタも、そのフォーマット自体がパクリですからね。だから、僕は今までにない哀愁漂うネガティブ漫談を生み出したんです。それこそがオリジナリティだと思っています。
ただ、テレビで求められているのはオリジナリティより雰囲気。友達同士の芸人が馴れ合いでやるお笑いの方がいいんです。僕はネット上で自分がやりたいことを発信したい、それだけのことです。
ヒロシの人生はギャンブル?
――ギャンブルってやります? 一応ギャンブルサイトなのでお聞かせください。
ヒロシ:20代前半の頃にパチスロやパチンコをやっていました。大学生と新社会人、お笑い芸人として駆け出しの時代ですね。パチスロの機種でいうと「ゲッターマウス」を打っていました。
――堅実そうな雰囲気があるので、パチスロ愛好家の過去にはなんかギャップを感じます。
ヒロシ:堅実なんてとんでもない!「人生そのものがギャンブル」ですよ。人生最初の大博打は、サラリーマンからお笑い芸人に転身したこと。大学生の頃からお笑いがずっとやりたくて、売れなかったらホームレスになる覚悟で25年前に決心しました。
――安定した生活を捨てて、人生オールベット。
ヒロシ:でも、その博打は負けの連続。テレビ以前にライブに出演するには、百人単位の芸人が集まるオーディションを勝ち抜かないといけない。オーディションは数週間にわたって開催されるので、ネタをブラッシュアップして審査に臨む日々。それでもなかなか勝てない。色んな人にネタのことをあーだこーだ言われるのは本当に嫌でしたね。そんな生活に耐えて、ようやく「ヒロシです……」のネタで大当たりが出ました。
――最終的には「大勝」されました。
ヒロシ:と思ったのも束の間。ブレイクした後も大変だったんです。忙しい日々で『もうテレビに出たくない』『働くペースを落としたい』と思っても、テレビ関係者はどんどんネタをやれと促してくる。もうテレビという場でずっと「勝負」はしたくない、ブームという大当たりはいらない。そう強く感じたので、テレビから離れるようにしたんです。
――波瀾万丈の道のり、相当な負荷との闘いだったと。ただ、YouTubeもそうですが、今のヒロシさんとお話していると、すごくポジティブな印象を受けます。
ヒロシ:自分でもそう思います。きっとテレビから離れたからでしょうね。YouTubeで自由に好きなことができているので、ストレスも薄いですね。
ヒロシが語る「平成」「新時代」
――もうすぐ新元号を迎えるにあたり、ヒロシさんの「平成」の総括を。
ヒロシ:平成はお笑い芸人として活動していたので、本当に色々ありました。でも、新元号を迎えたら「昭和・平成・新元号」という3つの時代を生きることになるんですよね。新元号がどんな時代になるのか、実は「ワクワク」しているんです。それもまた、インターネットを中心に、新しい価値観がどんどん生まれているからだと思います。
47歳になって新しい時代や社会の変化を楽しみに感じられるって、かなり幸せなことですよね。性格的にひとつひとつの事柄には不満を持ちがちですが、全体的には人生を前向きに考えられています。