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JRA四位洋文「若手から“情熱”を感じない」元トップジョッキーが危惧する「チャンスをもらえない時代」

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 先日のフェブラリーS(G1)では、モズアスコットが安田記念と芝ダートG1制覇の偉業を達成したばかりだが、遡ること17年前の2003年に同じ偉業を達成したのがアグネスデジタルだった。そして同馬の主戦を務めていたのが、29日の阪神開催を最後に29年の騎手生活に別れを告げる四位洋文騎手である。

 奇しくも、四位騎手が初めてG1レースを制した皐月賞(G1)で騎乗していた馬は、山内研二調教師が管理していたイシノサンデーだった。そんな2人が、同じタイミングで引退することになったのも何かの縁なのだろうか。

 四位騎手といえば、二刀流の先駆けアグネスデジタル、牝馬でダービーを勝ったウオッカ、前年のウオッカに続いてダービー連覇となったディープスカイなどのコンビで有名だ。これまで積み重ねて来た実績はG1・15勝のトップジョッキーだ。

 そんな一時代を築いた名手がムチを置くにあたり、『netkeiba』の「四位洋文騎手・引退特集」で、自身の騎手人生とこれからの若手への熱い想いを語ってくれた。

「いや、ホントにね、静か~に辞めたいんです。それなのに、(福永)祐一なんか『四位さん、神輿作りますか?』とか言ってきて(笑)」

 面倒見のいい人柄もあって、多くの後輩から慕われるダービー連覇ジョッキーは、自身の調教師転身について照れ臭そうに話した。

 ラスト騎乗の前にジョッキー四位洋文について振り返ってみたい。

 デビューしたのは91年で、競馬学校では7期生にあたる。同期には藤田伸二、橋本広喜、安田康彦がいた(敬称略)。競馬学校入学前から、すでに乗馬で全国区の活躍をしており、教官からは一目置かれる存在でもあった。

 ところが、一番の注目株だったにもかかわらず、先に重賞初勝利をあげた同期らに対し、デビューから3年近くの間、目立った活躍をすることができなかった。

「焦りはなかったと言ったらウソになりますね」と師匠の古川平元調教師に反抗したり、厩舎スタッフと喧嘩が絶えなかった当時を振り返った。

 そんな挫折を味わった状況から脱却させてくれたのはやはり人だった。四位騎手を励まし、応援する調教師が騎乗機会を多く与えてくれ、それによって気付かされたことが非常に多くあったようだ。高い技術を持っていたとしても、乗るチャンスがなければ騎手としての成長の機会がない。当時はまだ、人を育てる土壌に恵まれていた時代だった。

 だが、最近は結果を出していても継続して乗れないということも珍しくなくなってきている。極端な場合は、デビューから無敗でコンビを組んできた馬さえも、別の騎手に奪われることさえある。そんな時代を危惧してか、四位騎手は自身の考えをこう続ける。

「今はなかなかチャンスをもらえない」と自身が若手だった当時とは異なる状況に理解を示しながらも「“情熱”のようなものを感じない」と四位騎手らしい厳しさも見せた。

「今の若い子たちに言いたいのは、とにかく諦めないこと。ありきたりだけど、大事なことです」

 彼のいう「馬に興味を持て、馬を感じろ」とは、ジョッキーが馬に乗って走らせて、それで結果が出るか出ないかだけではなく、パートナーの気持ちや意識を感じてあげることだという。

 「騎手」四位洋文としての心残りはたくさんあるという。だからこそ「調教師」四位洋文ではそういう後悔はしたくない――。29日、数々の華麗な騎乗を魅せてくれた偉大な騎手の集大成を見届けたい。

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