JRAオークス(G1)デゼルはデアリングタクトに通用しない!? スイートピーSからカワカミプリンセス以来の制覇なるか……キャリア2戦に危うさも
17日、東京競馬場で開催されるオークス(G1)は無敗で桜の女王の座に就いたデアリングタクトの2冠達成に注目が集まる。牝馬3冠の呼び声が高い同馬に他馬はどう立ち向かうのか。
桜の女王打倒の期待が大きいのは、キャリア2戦でスイートピーS(L)を勝利したデゼル(牝3、栗東・友道康夫厩舎)だろう。
勝ち時計の1分47秒1は今年行われた東京の芝1800m条件で最速であり、同馬が駆使した上がり3F32秒5も最速である。直線一気が決まるレースが少ない現在の東京の馬場状態にもかかわらず、外から楽な手応えで突き抜けたレース内容は価値がある。
スイートピーSからオークスを制した馬は2006年のカワカミプリンセスただ1頭のみだ。同馬に続いてデゼルは2頭目となれるだろうか。
今年の3歳春のG1戦線ではキャリアの少ない無敗馬の活躍が目立った年でもあった。桜花賞(G1)、皐月賞(G1)、NHKマイル(G1)の開催を終え、多数の無敗馬の連勝がストップしたが、オークスにはデアリングタクト、デゼル、アブレイズの3頭が出走する。
とはいえ、クラシックである桜花賞を快勝したデアリングタクトと2頭を同じ扱いにするのはいささか無理があるのは確かだ。ここまで戦ってきた相手関係を比較しても、デアリングタクトが桜花賞で破った相手は昨年の2歳女王レシステンシアである。また、敗れたレシステンシアは次走のNHKマイル(G1)を2着と世代トップクラスの実力を証明している。
では、カワカミプリンセスのときはどうだったのかを振り返ってみたい。同馬のデビューは2月末と遅かった。不良馬場の芝1400mを逃げ切り勝ちすると、2戦目の君子蘭賞(500万・当時)をデビュー戦とは一転の直線一気で差し切った。1400mを2戦して、距離が1800mに延びた3戦目のスイートピーSは、3番手の好位から直線7番手に下がっての差し切り勝ちを決めた。
オークスの前に不良馬場の逃げ、良馬場の追込み、一気の距離延長を好位からの差し切りとキャリア3戦の中身は非常に濃かった。この自在性こそが、カワカミプリンセスがオークスを勝利できた背景にあっただろう。
「スイートピーSの勝ち方をからも、デゼルが非凡な素質馬であることは確かですが、ここまでの2戦とも後方から追い込んで勝っているのは気になります。体質の弱さからデビューが3月までずれ込み、2走目のスイートピーSは5月初旬でした。関西馬ですから中2週で再度の長距離輸送となるオークスは割引でしょう。
前走で負かしたスマートリアンはエルフィンSでデアリングタクトに1秒1差とまったく歯が立ちませんでした。NHKマイルC(G1)では、後方待機策で連勝して臨んだサトノインプレッサが13着と大敗しています。同じようなキャリアと勝ち方のデゼルにとっても厳しい力関係と現在の東京の馬場かもしれません」(競馬記者)
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