JRA C.ルメール「単勝1.8倍」断然人気馬がタックル被害で戦意喪失か……ヴィクトリアマイル(G1)圧勝グランアレグリアの前にまさかの大誤算
16日、グランアレグリアが単勝1.3倍の断然人気に応えたヴィクトリアマイル(G1)の勝利に盛り上がりを見せた東京競馬場。昨年の安田記念(G1)でアーモンドアイを撃破した実力を遺憾なく発揮した見事な勝利だった。
ただ1頭、別次元の走りを披露したグランアレグリア。前走の大阪杯(G1)は4着に敗れたが、初経験となった2000mの距離より、重馬場で思うような走りが出来なかったことが、伸びを欠いた理由だろう。
この勝利により、コンビを組むC.ルメール騎手も管理する藤沢和雄調教師も、以前から目標に掲げている秋の盾に向けて確かな手応えを掴んだに違いない。
グランアレグリアの勝利を完璧にエスコートしたルメール騎手だが、ひとつ前の東京10R青竜S(OP)では、単勝1.8倍の断然人気に支持されたラペルーズ(牡3、美浦・藤沢和雄厩舎)に騎乗したものの、11着に大敗していた。
同馬はグランアレグリアと同じく、ルメール&藤沢和厩舎の名コンビが送り込んだ実力馬。前走のヒヤシンスS(L)は、前残りする展開ながら、後方からインを突いて鮮やかな差し切り勝ちを披露した。
舞台はこのときと同じ東京ダート1600m、藤沢和師がカジノドライヴでかなわなかった米国クラシック制覇の夢を重ねたラペルーズの連勝をファン信じたのも無理はない。
だが、スタートしてすぐに隣枠の7番ユアヒストリーが内へ切れ込み、6番のラペルーズはタックルをされたような格好となった。これで気持ちが切れてしまったのか、最後方からの追走となったラペルーズは、道中でルメール騎手が促しても反応がなく、後方のままゴールした。
このレースでゲンパチフォルツァとのコンビで勝利、「理想通りの競馬ができた」と振り返った武豊騎手とは対照的な結果だった。
スタートの不利だけが敗因のすべてとはいえないものの、今年の桜花賞(G1)はメイケイエールにぶつけられたソングラインが15着に惨敗。池添謙一騎手が「不完全燃焼」と悔しがったのを証明するように、次走のNHKマイルC(G1)では、シュネルマイスターとハナ差の接戦と巻き返している。
「ラペルーズは高い能力を持ちながらもデビュー戦で気難しさを出したように、気性面で危うさのある馬でした。それに父は出遅れ癖で有名だったあのペルーサです。気難しいところが出てしまったのかもしれません。
断然人気を裏切りましたが、前走のヒヤシンスSで負かした相手のワンツー決着だったように、能力的に見劣らないでしょう。今回の敗戦は度外視してもいいのではないでしょうか」(競馬記者)
単勝1.8倍のラペルーズでは断然人気を裏切る格好となったとはいえ、ヴィクトリアマイルでは単勝1.3倍のグランアレグリアで勝利したルメール騎手。敗戦を引きずることなく、大舞台でしっかり結果を出すあたりはさすが超一流ジョッキーといったところか。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
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