JRA グランアレグリアはアーモンドアイを超えられるのか。C.ルメール騎手「G1まだ勝てる」歴代最強女王の「9冠伝説」到達へ、新女王が辿る秋ローテ

「今日はレベルが違いましたね。G1・5勝目ですが、まだ勝てると思います――」
16日、東京競馬場で行われた春の女王決定戦ヴィクトリアマイル(G1)は、1番人気のグランアレグリアが圧勝。現役最多となる5つ目のビッグタイトルを手にして「最強」を大きくアピールした。
まさに圧巻のレースだった。
スローペースの瞬発力勝負となった今年のヴィクトリアマイルだったが、グランアレグリアは上がり3ハロン32.6秒という鬼脚を披露。上がり2位のダノンファンタジーでさえ33.0秒なのだから、まさに「異次元の末脚」といえるだろう。2着につけた4馬身差は、昨年このレースを制した9冠女王アーモンドアイとまったく同じ着差だ。

こうなってくると周囲が気にするのは、やはり歴代最強女王と名高いアーモンドアイとの比較だ。レース後の会見で2頭の背中を知るルメール騎手を「うーん……。両方のレベルが高い」と困らせる質問が飛んだのも、ある意味では当然かもしれない。
牝馬三冠に加えて天皇賞・秋(G1)連覇、ジャパンC(G1)2勝、ドバイターフ(G1)、そして昨年のヴィクトリアマイルと前人未到のG1・9勝の金字塔を打ち建て、昨年ターフを去ったアーモンドアイ。
そんな女王の座を継承するように大きく飛躍したグランアレグリアは、ここまで桜花賞(G1)、安田記念(G1)、スプリンターズS(G1)、マイルCS(G1)、そして今年のヴィクトリアマイルのG1・5勝と、主に短距離路線で実績を積み上げてきた。
「アーモンドアイはG1を9勝していて、グランアレグリアは5勝。グランアレグリアが9勝したら、同じレベルだと言えますね」
そうルメール騎手が話した通り、実績面ではアーモンドアイに一日の長がある。昨年の安田記念でアーモンドアイを破ったグランアレグリアだが、G1・4勝差という実績はそう簡単に埋められるものではない。
「グランアレグリアが所属するサンデーレーシングの規定では、牝馬は6歳春までに引退となっています。そう考えると来年、グランアレグリアがG1に挑戦することは難しく、アーモンドアイと同じように5歳シーズン、つまりは今年一杯での引退が濃厚です。
陣営は次走の予定に、今回と同じ東京マイルで行われる安田記念を掲げていますが、仮にこれを勝ったとしてG1・6勝目。アーモンドアイに並ぶには、ここからどう積み上げていくかでしょうね」(競馬記者)
記者曰く、グランアレグリアは安田記念後に控える春の大一番・宝塚記念(G1)に向かう可能性は低いという。4着に敗れた大阪杯(G1)の敗因に馬場の悪化を挙げており、季節柄、馬場が悪くなりやすい宝塚記念に向かうことはリスクが大きいという。安田記念後は、休養になる公算が高さそうだ。
また、新型コロナウイルスが世界的に蔓延する現在の状況を踏まえても、夏以降にグランアレグリアが欧州などのビッグレースに参戦する可能性も低いといえるだろう。
順調に行けば、秋は陣営が以前から目標に掲げている天皇賞・秋への挑戦が主軸になる。2000mは大阪杯で4着に敗れたが、ルメール騎手が「2000mも良馬場ならいけると思う」と話している通り、馬場の良い東京で行われる秋の盾であれば、グランアレグリアにも十分に勝機はある。
その天皇賞・秋を連覇したアーモンドアイは、後にジャパンCや有馬記念(G1)といった古馬王道路線のG1に挑戦したが、距離適性の短いグランアレグリアであれば12月に香港で開催される香港C(G1)や香港マイル(G1)が次のターゲットになりそうだ。
「仮に今春の安田記念に加え、秋にも天皇賞と香港のG1を勝つようなら、グランアレグリアはG1・8勝に到達します。その上で、もし陣営がアーモンドアイに並ぶG1最多勝記録に拘るのであれば、天皇賞・秋と香港遠征の間にマイルCSを挟むか、天皇賞・秋の前にスプリンターズSから始動するかですね。
いずれにせよ、スプリンターズSとマイルCSの両方に出走する可能性は、馬の負担を考えても現実的ではないと思います」(同)
「グランアレグリアは、これからです」
そう期待を込めるルメール騎手。ヴィクトリアマイルの圧勝劇からも、連覇がかかる安田記念では牡馬相手に大本命に推されることが予想される。
伝説となった最強女王に並ぶまで、あとG1・4勝。険しい道なのは間違いないが、新女王が1歩1歩踏みしめていく。(文=大村克之)
<著者プロフィール>
稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。
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