JRA スマートファルコン産駒から大物誕生!? 平安S(G3)オーヴェルニュ激やせリバウンドで6馬身差「レコード更新」も手放しで喜べない理由
22日、中京競馬場で行われた平安S(G3)は、福永祐一騎手が騎乗したオーヴェルニュ(牡5歳、栗東・西村真幸厩舎)が快勝。従来のレコードを大きく更新し、1.54.7の好タイムで重賞2勝目を飾った。
レースはダート1900mの16頭立て。2番人気のオーヴェルニュは、好スタートから無理なく最内を先行した。
1番人気のアメリカンシードが大外枠から逃げる展開で、1000m通過は59.1秒。レース後、福永騎手が「ペースが思ったより速くなった」と振り返ったように流れたレースであったが、4コーナーでもオーヴェルニュの手応えは抜群。直線に入り、残り300mで先頭のアメリカンシードに並びかけると、そこからは独壇場。2番手以下をグングン突き放すと6馬身差をつけて圧勝した。
福永騎手は「すでに重賞を勝っていますが、強い馬を相手にしていく中で今日のようなレースで勝てたのは大きいと思います」と次を見据えたコメント。オーヴェルニュを管理する西村真幸調教師も「晩成タイプで時間をかけて完成されてきました。秋が楽しみになりましたし、チャンピオンズC(G1)へ向けてどこを使っていくかですね」と既にG1を視野に入れている。
初のG1レース参戦となった前走のフェブラリーS(G1)では13着と惨敗を喫したが、西村調教師が「前回は輸送が前日で身体を減らしました」と話すようにマイナス16kgでの出走。体調が万全ではなかったのは、馬体重を見ても明らかだろう。
今回オーヴェルニュが記録した時計は1.54.7で、これまでのレコード1.55.9を1.2秒も短縮。プラス14kgと馬体重を戻して挑んだ1戦の圧勝劇に、陣営の期待も高まる。
ただ、従来のレコードタイムは「1勝クラス」で出されたもの。湿った馬場コンディションを考えれば、重賞でのレコードタイムは当然だったともいえるのかもしれない。
中京1900mという条件は、2010年の高松宮記念(G1)終了後に行われたコースの全面改修工事によって誕生。通常は、2勝クラス以下のレースが殆どである。
しかし、今年は2020年11月から2023年3月にかけて行われる京都競馬場改修の影響で、これまで京都で行われていた平安Sが中京で開催。2012年3月からこの条件でのレースは行われているが、昨年のシリウスS(G3)以来2度目の重賞だったのだから鵜呑みにはできないところだろう。
昨年オープン入りを果たしたオーヴェルニュは福島民友C(L)を勝利すると、3連勝で東海S(G2)を制覇。今回の平安Sが行われたのも中京競馬場であり、これで中京では重賞2勝を含め3戦3勝となる。
東海Sは不良馬場であったが、今回も時計の出る重馬場。巻き返し成功は実力も然ることながら、運も味方につけての勝利だったのではないだろうか。
オーヴェルニュは、父スマートファルコンの産駒で初の重賞勝ち馬(今回が重賞2勝目)。今話題の「ウマ娘」にも登場する父の産駒だけに、今後もダート界をより一層盛り上げていってくれそうだ。(文=北野なるはや)
<著者プロフィール>
某競走馬育成牧場で働いた後、様々なジャンルの仕事で競馬関連会社を転々とする。その後、好きが高じて趣味でプログラミングを学習。馬券には一切のロマンを挟まないデータ派であるが、POG(ペーパーオーナーゲーム)では馬体派という奇妙な一面も持つ。
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