JRA「大本命」カレンモエ鮫島克駿に「5年越し」ブレークの兆し!? 函館SS(G3)“2年目の愚行”経て「元有望株」が最多勝も視野
今週末から夏の北海道シリーズが開幕。13日には、サマースプリントシリーズ(全6戦)の初戦、函館スプリントS(G3)が札幌競馬場で行われる。
8日現在、『netkeiba.com』の予想オッズで2倍を切る1番人気に支持されているのはカレンモエ(牝5歳、栗東・安田隆行厩舎)だ。昨年9月に念願のオープン入りを果たすと、その後は京阪杯(G3)とオーシャンS(G3)で連続2着。重賞クラスでもそのスピードが通用するところを見せている。
そのスピードはまさに親譲り。父は“史上最強”スプリンターのロードカナロア、母は同時代のスプリント路線でしのぎを削ったカレンチャンだ。ともに縁のある安田厩舎に所属した。まさに2010年代を代表する名スプリンターを両親に持つ“サラブレッド”である。
そんなカレンモエと久々のコンビを組むのが鮫島克駿騎手。こちらも競馬界の“サラブレッド”といえる存在だ。佐賀競馬に所属する父の克也氏は、地方で通算5000勝以上を誇る名騎手。10歳年上の兄・良太もJRA通算300勝以上を挙げる現役騎手である。
そんな競馬一家で育った鮫島駿騎手は、今年で騎手生活7年目を迎えた。1年目の2015年には、同期でトップとなる39勝を挙げ、JRA賞最多勝利新人騎手を受賞。若手の有望株としてその将来が嘱望された。
2年目の翌16年も春先まで順調に勝利を重ね、3月の高松宮記念でG1に初騎乗。まさにブレークしようとしていたその矢先、自らの“愚行”で1か月間騎乗なしという事態を招いてしまう。
「鮫島駿騎手は、その年の4月中旬から約1か月間『休養状態』になってしまいました。特に制裁を受けた状況でもない中、突然の休養にファンからは様々な憶測や心配の声が上がりました。
真相不明のまま5月中旬に復帰しましたが、のちにその理由が『未成年飲酒』だったことが判明します。自身が幹事を務めた花見の席で先輩騎手から酒を飲まされ、泥酔した状態でタクシーに乗り込むと、横暴な態度を取って警察沙汰になったというのが事の真相だったようです」(競馬誌ライター)
JRAからの発表も、本人の謝罪もないまま、この“休養”を機に騎乗機会は減少。当然、勝ち鞍も思うように伸びず、2年目は前年を下回る30勝に終わってしまう。
3年目から昨年までの勝利数は、31勝→42勝→28勝→37勝とほぼ横ばい。結局“ブレーク”を果たせないまま7年目の今年を迎えた。
「花見の件以降も鮫島駿騎手は自らの力で徐々に信頼を取り戻していきました。昨年2月にはカデナに騎乗し、小倉大賞典(G3)で重賞初勝利。先月の新潟大賞典(G3)ではサンレイポケットで重賞2勝目を挙げ、5年越しのブレークは間近といっていいでしょう」(同)
横ばいで推移していた勝利数にもブレークの兆しは表れている。6月1週目を終えた時点で、既に35勝。これは年間80勝に達するペースで、自己最多の年間42勝から倍増も夢ではない状況だ。
秋にはスプリンターズS(G1)挑戦も視野に入れるカレンモエとともに、飛躍につながる“1勝”をつかむことはできるだろうか。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。
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