JRAピンクカメハメハ落馬だけじゃない!? 「やわらかい内ラチ」と「アスファルト」に衝撃の声が続々……、佐藤哲三元騎手の負傷引退から振り返るこれまでの対策とこれから

20日、東京競馬場で行われたユニコーンS(G3)にて、サウジダービー馬ピンクカメハメハ(牡3歳、栗東・森秀行厩舎)が、レース中に急性心不全を発症するという悲しい出来事があった。
同馬は向正面で制御不能となり内ラチへと激突した際、堅そうに見えた馬場柵と支柱はぐにゃりと曲がり、内ラチを越えて投げ出された北村宏司騎手は、芝の内側のアスファルトへと叩きつけられた。
誰もが人馬を心配した事故であるが、これを見たSNSや掲示板では「内ラチってあんなにやわらかいんだ」と驚きの声があがったとともに、「なんで芝の内側にアスファルトが」と疑問の声も出ていた。
JRAでは常日頃から事故による怪我の軽減対策を行っており、馬場柵の材質変更もその賜物のひとつだ。しかし、その対策以前には、ひとりの“勝負師”の人生を左右する大事故があった。
自身を「ギャンブルレーサー」と称し、その大胆な騎乗から“勝負師”と呼ばれた佐藤哲三元騎手は2012年11月24日、京都競馬場10レースの最後の直線において、バランスを崩し落馬、当時、鉄製だった内ラチの支柱に激突して重傷を負った。そして、この怪我によって引退へと追い込まれた。
佐藤哲三元騎手は、後のダービー馬キズナの主戦を務めていたが、上記の怪我で無念の乗り替わり。以降、同馬は武豊騎手とのコンビでターフを沸かせることになる。
JRAではこの落馬事故以前から、鉄製の支柱を改善出来ないか話し合っていたとされ、競馬に「タラレバ」は厳禁だが、それでも、もう少し早く改善されていれば、ダービージョッキー佐藤哲三が誕生していたかもしれない。
その後、上記の事故も後押ししたか、内ラチの支柱は鉄製から繊維強化プラスチック製に替えられ、以前に比べれば安全と言えなくもないのだが、次の問題は馬場の中にあるアスファルトである。
「競馬場では馬運車や救急車など、さまざまな車両が通行していますが、今回の落馬で北村宏騎手は、内ラチを大きく超えてアスファルトへと叩きつけられました。芝やダートに比べて堅いアスファルトですから、一歩間違えれば最悪の事態もあったかもしれません」(競馬記者)
21日のJRAの発表では、右足の骨折と検査の結果が出たとされているが、骨折も大きな怪我とはいえ、命に別条がなかったことは不幸中の幸いとも言える。
「今年の5月には、木幡育也騎手も内ラチを超えた落馬事故が起こっているため、ラチの素材だけでなく、通路の素材や緩衝材などの安全措置を講じるべきかもしれません」(同記者)
競馬ファンにとって、全人馬が無事でレースを終えることは大事な願いのひとつである。そして、真剣勝負に予期せぬアクシデントが発生することは珍しくない。それだけに、不測の事態にも可能な限りの対策を取ることが重要となるだろう。
今後も、競馬の安全対策と馬の健康管理を徹底して頂き、楽しい競馬であったと月曜日に思いたいものだ。
(文=蓬莱貴生)
<著者プロフィール>
小五でダビスタにハマり競馬と出会い二十余年。馬券よりも浪漫を求めがちだが、WIN5を買い始めから二戦二勝したことが些細な自慢。なお、現在の戦績は数えないようにしている。
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