JRA宝塚記念(G1)「時代が悪かった」横山典弘も嘆いた名馬の血! 天敵の主戦だった武豊がアリストテレスと初コンビ、因縁の名馬2頭が後押しするか!?
27日、阪神競馬場では上半期の総決算・宝塚記念(G1)が行われる。武豊騎手との新コンビで臨むのはアリストテレス(牡4歳、栗東・音無秀孝厩舎)だ。
アリストテレスがその名を広めたのは、昨年10月の菊花賞(G1)だった。無敗3冠を狙うコントレイルを道中で徹底マークすると、直線は2頭による壮絶なデッドヒート。クビ差及ばなかったが、王者をあと一歩のところまで追い詰めた走りを高く評価された。
その菊花賞から4戦連続で手綱を取っていたのはC.ルメール騎手。AJCC(G2)ではヴェルトライゼンデ以下を一蹴したが、その後は阪神大賞典(G2)で7着、天皇賞・春は4着に敗れ、一気に株を下げた。
そのルメール騎手は今回、クロノジェネシスに騎乗。リーディングジョッキーに捨てられた形のアリストテレスは、武豊騎手と名誉挽回の一戦に挑む。
菊花賞でコントレイルに食い下がった際、アリストテレスの評価が急上昇した背景には、同馬の伯父にあたるリンカーンの存在もあった。サンデーサイレンス直仔のリンカーンは、03年菊花賞でザッツザプレンティの2着に好走し、本格化。6歳春まで現役で走り、重賞3勝、G1で2着3回の成績を残した。
そのリンカーンのキャリア23戦で半数近い11戦でコンビを組んだのが武豊騎手だった。しかも、6勝中5勝をこのコンビで挙げるなど、相性は良かった。そして、リンカーンが2着したG1の3レースが、3歳秋の菊花賞と有馬記念(G1)、そして6歳時の天皇賞・春である。
武豊騎手が手綱を取ったのは3歳暮れの有馬記念。着順は2着だったとはいえ、引退レースのシンボリクリスエスに9馬身差をつけられる完敗を喫した。武豊騎手の次に騎乗機会が多かったのは横山典弘騎手で計6度騎乗。G1では菊花賞と天皇賞・春で2着に導いている。
印象的だったのは、リンカーンにとって3度目の挑戦で最高着順となる2着に健闘した6歳の時の天皇賞・春だ。この時リンカーンを3馬身半ちぎったのは名馬ディープインパクト。
レース後に横山典騎手は、「(リンカーンの生まれた)時代が悪かった」という言葉を残しているが、リンカーン自身もマヤノトップガンが持つレースレコードを上回る好時計で走破。さらに3着馬には5馬身差をつけていた。生まれた時代が違っていれば、G1馬になっていた可能性は十分にあっただろう。
そんなリンカーンがG1で完敗を喫した2頭の血がアリストテレスには流れている。アリストテレスの父はエピファネイアなので、祖父がシンボリクリスエス。そして母の父がディープインパクトである。
アリストテレスのG1制覇を後押ししてくれるのは、伯父の悲願を阻んだ2頭の存在かもしれない。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。
PICK UP
Ranking
11:30更新- 【日本ダービー】武豊「何とか間に合いました」キタサンブラック弟と挑む最多7勝目…乗り替わりでも不気味なエコロヴァルツの底力
- 【NHKマイルC】C.ルメール「一鞍入魂」アスコリピチェーノと必勝態勢!オークス、日本ダービーも騎乗馬決定か…シックスペンスとはコンビ解消
- 三浦皇成「これはモノが違う」悲願のG1初制覇が目前で霧散…「今後、ダート界を引っ張る馬になってほしい」宿敵レモンポップへ1年越しの挑戦状
- 「オーナーの逆鱗」に触れた原優介が突然のクビ宣告!? 帝王賞でウィルソンテソーロ降板も決定済み…気になる「鞍上交代」はやっぱりアノ人?
- 【天皇賞・春】「横山典弘マジック」に翻弄された敗戦の弁?大敗でも爪痕残した名手の存在感…テーオーロイヤル、ディープボンドの好走にヒント
- 藤田菜七子「日本ダービー騎乗」は幻に!? 武豊シュガークン×エコロヴァルツ「究極の二者択一」ダービー鞍上問題はスピード決着
- 【オークス】石川裕紀人が滑り込みでラストチャンスをゲット!?血統的に距離延長歓迎の穴候補に浮上…カワカミプリンセス、カレンブーケドールに続けるか
- 「うまく力を出せた」2年目女性騎手が2ヶ月ぶり白星! 「負担重量の注意義務」を怠り戒告処分も…翌日1Rで名誉挽回の好騎乗
- 「信じた俺がアホ」天皇賞・春(G1)大本命テーオーロイヤル優勝も「自信の1点勝負」は空振り…藤田伸二氏が前夜に感じ取っていたドゥレッツァの危険な前兆
- 【NHKマイルC】“アスコリピチェーノVSジャンタルマンタル”仁義なき社台グループの頂上決戦に決着をつける不気味な伏兵!
関連記事
JRA【宝塚記念(G1)展望】グランプリ連覇クロノジェネシスVS無敗馬レイパパレ!珍客ヨシオも“みたび”襲来……★上位人気馬予想オッズ付き★
武豊ついに「復活間近」か。関東オークス(G2)優勝、先週は「神騎乗」も披露。宝塚記念(G1)アリストテレス「一発あるよ」1年8ヶ月ぶりG1制覇の可能性
JRAまるで「消化試合」の大誤算!? クロノジェネシスVSレイパパレ激突も…… 史上最高から平常運転に転落した宝塚記念(G1)に拭えぬガッカリ感
JRA武豊VS川田将雅「元お手馬」対決で分かれた明暗! アドマイヤビルゴ「再登板」待望論も…… 宝塚記念(G1)アリストテレスで存在感をアピールできるか
JRA 宝塚記念(G1)衝撃「8頭立て」の可能性も……有力馬の相次ぐ回避に「条件馬」が参戦を表明。問われる「春のグランプリ」の存在意義