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【有馬記念】「使い分け」に一石投じた戸崎圭太が意地!ルメールキラーが3勝目で今年の屈辱もスッキリ?

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戸崎圭太騎手 撮影:Ruriko.I
戸崎圭太騎手 撮影:Ruriko.I

 22日、中山競馬場で行われた第69回有馬記念(G1)は、戸崎圭太騎手が騎乗した5番人気レガレイラが優勝。昨年のホープフルS(G1)以来となる待望のG1・2勝目を手にし、来年の主役に名乗りを上げた。

 ゴール前は外から猛追したシャフリヤールと壮絶な叩き合い。最後の最後まで手に汗握る攻防が繰り広げられた激戦をハナ差で凌ぎ切った。3歳牝馬による有馬記念制覇は、1960年スターロツチ以来、64年ぶりの快挙。快進撃を続けるスワーヴリチャード産駒にも新たな勲章が加わった。

 「本当にレガレイラに感謝したい」「心の底から喜びがこみ上げて」「またこうやって勝ててうれしく思いますし、さらにまた頑張りたい」と振り返った戸崎騎手だが、有馬記念でレガレイラと初コンビ。それでもテン乗りとは思えない完璧な手綱捌きでパートナーの勝利を後押しした。

ルメールキラーが3勝目で今年の屈辱もスッキリ?

 最大のポイントとなったのは、G1としては超のつくスローペースを好位で立ち回れたことだろう。レガレイラはスタートの速い馬ではなく、やはり置かれ気味だったが、戸崎騎手がすかさずリカバリー。あえて馬のリズムよりポジション取りを優先した。

 最初のコーナーで内に潜り込んだスターズオンアースのすぐ外をキープ。進路が見つかれば、いつでも抜け出せる態勢の意地に努めた。これに対し、シャフリヤールは8枠16番の大外枠という不利も最後の最後で力尽きた一因となったはず。勿論、C.デムーロ騎手は最高の騎乗を見せてくれたものの、今回ばかりは戸崎騎手が完璧過ぎたのだから運が悪かったというしかない。

 その一方、戸崎騎手がレガレイラに騎乗するチャンスは、C.ルメール騎手のお陰で巡ってきたという見方もできる。

 本馬は元々ルメール騎手のお手馬であり、ホープフルSもルメール騎手とのコンビで制していた。JRAのG1で前走ルメール騎手だった馬が戸崎騎手へ乗り替わっての優勝はこれが3度目。それもすべてが「テン乗り」だったのだから、ちょっとした“ルメールキラー”といってもいい。相手は超一流のトップジョッキーであり、ルメール騎手の選ばなかった馬で倒した戸崎騎手の勝負強さに驚かされる。

 対するルメール騎手は1番人気アーバンシックに騎乗したが、スタートでまさかの出遅れ。この関係で生まれたスペースに川田騎手と戸崎騎手がそのまま収まったのだから、結果的にライバルのアシストをした格好。名手といえども歯車がかみ合わなければ、勝利の女神は微笑んでくれない。

 レガレイラにしてもチェルヴィニアやブレイディヴェーグらとの兼ね合いでルメール争奪戦に巻き込まれたが、ルメール抜きでも結果を残せた意味は大きい。そして個人的な思いとしては、今年様々な屈辱を経験した戸崎騎手が最後の最後に幸運を手に入れたことも感動した。

 振り返れば皐月賞(G1)をジャスティンミラノで制した戸崎騎手だが、オークス(G1)のステレンボッシュ、無敗二冠を目指した日本ダービー(G1)で連敗。ルメール騎手や横山典弘騎手に格の違いを見せられるような敗戦を経験した。秋も秋華賞(G1)ステレンボッシュ、菊花賞(G1)ヘデントールとルメール騎手に連敗し、かつてのお手馬レモンポップのチャンピオンズC(G1)連覇も目撃している。

 一部の競馬ファンから「やっぱり戸崎では……」という声も出る中、こうして大一番で意地を見せたのだからその喜びもひとしおに違いない。これを機会にルメールだけじゃないことをアピールしていきたいところだ。

高城陽

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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