
まさかの「億超えゼロ」14頭合わせてもキズナ産駒1頭に完敗! 新種牡馬キタサンブラック産駒がセレクトセールで「不振」に終わった理由
12日から2日間にわたって行われた「セレクトセール2021」。
毎年、超高額で落札されていたディープインパクト産駒やハーツクライ産駒も残りわずかとなり、その動向が注目されていた今回のセールだったが、フタを開けてみれば億超え落札馬が連発。2日間の総売上は225億5600万円となり、2019年の205億1600万円を大きく上回るレコード。今年も大盛況のまま幕を閉じた。
一方で、そんな“億超えラッシュ”の波にいまいち乗り切れなかったのが、新種牡馬キタサンブラックではないだろうか。
産駒は1歳馬セッション、当歳馬セッション合わせて14頭が上場されたが、最高価格となったのは「トゥリフォーの2020(牝)」で5400万円。決して安いわけではないが、同じく新種牡馬であるシルバーステートやサトノアラジンの産駒が億超えで落札されていたことを考えると、7冠馬キタサンブラックの産駒としてはやや不振であったといえるかもしれない。
ここで、今回落札されたキタサンブラック産駒を価格順に確認しておきたい。
5400万円 トゥリフォーの2020(牝)
4100万円 ピースアンドウォーの2020(牡)
3500万円 プリティカリーナの2020(牝)
3500万円 キャンディネバダの2020(牝)
3200万円 リプリートⅡの2021(牡)
3000万円 フォンタネリーチェの2020(牡)
2600万円 ミスティックリップスの2021(牝)
2600万円 エセンテペの2021(牝)
2300万円 シュガーショックの2020(牝)
2000万円 ブリッジクライムの2020(牡)
1900万円 サファリミスの2021(牝)
1400万円 ユナニマスの2021(牡)
1400万円 デルマオギンの2021(牝)
主取 シルヴァーコードの2021(牡)
主取だったシルヴァーコードの2021を除くと、1頭の平均落札価格は約2800万円。セール全体の平均落札価格が約5100万円だったことからも、振るわない結果となった。
また、14頭の合計落札額は3億6900万円。これは今回のセレクトセールで最高価格となったセルキスの2021の4億1000万円を下回った。14頭合わせてもキズナ産駒1頭に及ばなかったというのは、キタサンブラックにとってはなかなか寂しい結果だったといえるかもしれない。
「いまのところキタサンブラック産駒はJRAで4頭がデビューしていますが、3着が2回あるものの未勝利。今回のセールまでに初勝利を挙げることができなかったのも、不振に終わった原因の一つかもしれません。
もともとキタサンブラック自体が3歳になってからデビューしており、菊花賞(G1)を制していますが、本当に強くなったのは古馬になってからです。あまり仕上がりが早い血統とも思えないので、産駒も長い目で見ていきたいところですね」(競馬記者)
先週の福島開催ではキタサンブラックの全弟であるエブリワンブラックが連勝を挙げ、4歳夏にして本格化の兆しを見せ始めている。また、キタサンブラックの兄であるショウナンバッハもJRAでの初勝利は4歳春で、以降8歳にいたるまで長きにわたって活躍した。
このことからも、やはりキタサンブラックの血統には晩成の傾向があるのだろう。
即戦力やクラシックでの活躍が期待されるセールにおいては、今後も苦戦が強いられるかもしれないが、まだまだ未知の部分も多い。1頭でも活躍馬が現れれば、その評価はまた大きく変わりもするだろう。
現役時代にG1・7勝を挙げ、絶大な人気を誇ったキタサンブラックの産駒たち。今回上場された14頭も含め、長い目で見守っていきたいところだ。
(文=冨樫某)
<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。
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