JRA「G1・3頭出し」の夢潰えた名伯楽が残した秘密兵器に復活の兆し! 名牝ダイワスカーレット、ダートの怪物クロフネも回避となった因縁、北の大地で実力馬復活の期待

昨年の夏は、松田国英厩舎の馬がダートで快進撃を遂げていた。
芝からダートに路線変更した2017年のホープフルS(G1)勝ち馬タイムフライヤーが、マリーンS(OP)でダート初勝利を挙げると、続くエルムS(G3)も連勝してダート重賞を初制覇した。芝のG1馬がダートG1を制した例は、過去にもアグネスデジタルやモズアスコットが二刀流を達成しており、タイムフライヤーにもこれらに続く期待もあった。
また、7月に1勝クラスを卒業したキズナ産駒ハギノアレグリアスは、10月の白川郷S(3勝クラス)まで怒涛の3連勝。カフェファラオの勝利したシリウスS(G3)の勝ちタイム1:57.8は白川郷Sで4着だったウェルカムゴールドの走破時計と同じ。時計だけの単純比較ならハギノアレグリアスから約10馬身近く離されていたという”仮説”も成り立つほどだった。
そして、7月に3歳未勝利を大差勝ちしたハギノリュクスは、10月の2勝クラスまで同じく3連勝。同馬が圧勝した3歳未勝利戦は、函館ダート1700mを1:43.6の快時計。このタイムは、タイムフライヤーのマリーンSと同じだったことでも注目された。
以上を踏まえても、当時のダート戦線で最も勢いがあったのは松田国厩舎といっても過言ではない。翌年、定年による調教師引退の近づいていた松田国師にとっては、2月のフェブラリーSが、現役最後となるG1の舞台。3頭が揃っての出走が叶えば、引退の花道を飾るに相応しいラストG1となるかもしれなかった。
しかし、そんな名伯楽の思いとは裏腹に、過酷な現実が待ち受けていた。フェブラリーSを前に、期待の3頭が揃ってアクシデントに見舞われてしまったのである。
大将格のタイムフライヤーは、前走後に体温が上がるなど体調不良により、あえなく回避。両前肢に屈腱炎を発症したハギノアレグリアスは、秋に戦列を離脱。唯一、無事だったハギノリュクスは、3連勝後に出走した栞S(3勝クラス)を3着に敗れて連勝がストップすると、その後の3勝クラス2戦を11着と連敗し、G1挑戦どころではなくなってしまった。
終わってみれば、3頭出しどころか1頭も出走が叶わず、クロフネ、キングカメハメハ、ダイワスカーレットら歴史的な名馬を育てた名伯楽としては、淋しさの残る結末だったといえるだろう。
そもそも、フェブラリーSと松田国調教師の相性は、決していいとはいえない過去もあった。出走を予定していたダートの怪物クロフネは右前浅屈腱炎で引退、名牝ダイワスカーレットは、坂路調教中に跳ね上がったウッドチップで右目を負傷。創傷性角膜炎と診断されて回避した。
過去、出走した馬は【0.1.2.4/7】と勝利には至らず、最後の最後でも相性の悪さが目立つ結果となってしまった。
松田国師はすでに引退したものの、スランプに陥っていた感のあるハギノリュクスが、前走の夏至S(3勝クラス)で2着に入り、復調気配を見せつつあるのは朗報だ。
今週出走を予定しているUHB杯(3勝クラス)は、昨年大差勝ちした3歳未勝利と同じ函館ダート1700mと同じ舞台。思い出の地で復活勝利を飾り、秋のダートG1戦線、さらには昨年挑戦が叶わなかったフェブラリーSに向け、今度こそ好結果を期待したいところである。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
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