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JRA武豊デュガ「負けるが勝ち」でしてやったり!? 森秀行VS藤沢和雄「異例」の東西名伯楽対決、常識にとらわれない森マジックは令和でもやっぱり健在

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 14日、土曜の小倉と札幌では、期待の2歳馬を擁する森秀行調教師と藤沢和雄調教師の“奇想天外な対決” がちょっとした話題を集めた。

 いずれも名伯楽といわれる東西の腕利き調教師だが、藤沢師匠は札幌10Rコスモス賞(OP)にレッドラディエンス(牡2、美浦・藤沢和雄厩舎)を登録。対する森師は小倉9Rフェニックス賞(OP)にデュガ(牡2、栗東・森秀行厩舎)をスタンバイ。

 8日の新馬戦を1番人気で6着に敗れていたレッドラディエンス、これがデビュー戦のデュガ。いずれも格上挑戦となるため、実現すれば異例の格上挑戦となることで注目されていた。

 実際のところは、藤沢厩舎のレッドラディエンスが未勝利に出走し、コスモス賞にフィフティシェビーがC.ルメール騎手とのコンビで出走したため、こちらの格上挑戦は実現しなかった。同馬は1番人気に支持されながらも3着。対するレッドラディエンスは、未勝利戦に出走して見事に勝利を手に入れた。

 未勝利戦を2馬身差で快勝したレッドラディエンスの勝ち時計1分49秒4は、コスモス賞の勝ち馬トーセンヴァンノの1分49秒3とコンマ1秒差。仮に出走していれば、タイム的に好戦していた可能性も高い。

 ルメール優先主義の藤沢厩舎としては、2頭が同じレースに出走すれば、ルメール騎手が乗れなくなるため、“痛し痒し”といえる結果だったといえるのかもしれない。

 その一方、武豊騎手を背にフェニックス賞に出走したデュガは、4番人気ながら3着に入り、しっかりと賞金400万円ゲットに成功。新馬戦の1着賞金は700万円だが、2着の賞金280万円を上回った。

 当初、22日の新馬戦でデビューする予定だったが、“仕上がり過ぎ”てしまうということで1週繰り上げの初陣。14日の新馬戦は混合競走のため、外国産馬のデュガはあえてのフェニックス賞だったが、上々の結果を残したといえる。

「小倉の新馬戦は出走馬が殺到して、フルゲートになりやすい上に、OPのフェニックス賞はフルゲート割れの10頭立て。デュガが仕上がり早で順調過ぎるという誤算がありながらもこのレースを狙った森師の英断が功を奏しました。

大雨の影響で不良の馬場コンディションの中、後方からよく伸びて3着。陣営によると、テンのダッシュ力があるということで芝1200mデビューだったようですが、この内容なら距離が延びても問題なさそうな感じでしたよ」(競馬記者)

 実際、レース後のコメントでも武豊騎手は「脚力がありそうで今後が楽しみです」と評価し、管理する森師も「潜在能力が高い。先につながる一戦だった」と手応えは上々。次走でも勝ち負けが期待できそうな雰囲気だった。

 2018年の弥生賞(G2)に未出走馬のヘヴィータンクを出走させ、大差負けの最下位となった1戦のみで現役を引退。重賞ではタイム差による減額措置の対象とならないため、6着馬から10着馬に対してJRAから出走奨励金も満額で支払われた。

 現在は、「未出走馬および未勝利馬が平地オープン競走に出走したときを除く」とルールが改正されているが、主催者のJRAでさえ想定していなかった森マジック。常識にとらわれない森師の「馬主に損をさせない」というスタイルは、令和となった現在でも健在だ。

(文=高城陽)

<著者プロフィール>
 大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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