JRA横山典弘「調教師」転身をついに決断!? 蛯名正義も苦しんだ「特例」の廃止、引退カウントダウンはもう少し先?
先週末の競馬は、横山ファミリーが土日で大活躍。
三男の横山武史騎手が、日曜札幌で1日6勝を達成。長男の横山和生騎手は札幌で3勝の好成績を挙げた。息子2人の成長は、父である横山典弘騎手にも頼もしく映っているだろう。自身も新潟競馬場で行われた関屋記念(G3)でマイスタイルに騎乗。見せ場十分の4着に入って存在感を見せた。
これまで数多くの「典マジック」を披露してきた横山典騎手だが、デビュー36年目の大ベテラン。先日は柴田善臣騎手がレパードS(G3)を制し、JRA最年長重賞勝利記録を更新したことで話題となったが、55歳の “先生” と53歳の横山典騎手は年齢も近い。
武豊騎手と同期にあたる52歳の蛯名正義(元騎手・現調教師)が難関を突破して、今春から調教師に転身。横山典騎手にもそろそろ「引退して調教師になるのではないか」という噂も出ていたが、どうやらこれには現実味がありそう。
「騎乗依頼が減ってきたこともあって、ノリさんも今年から調教師試験を受ける覚悟を決めたみたい。今年の夏は依頼が1頭や2頭の場合は断って、土日も勉強の時間に充てているとのこと。
火曜から金曜も今までならトレセンに顔を出していましたが、徐々に来ない日も増えていて、自宅やJRAの事務所などで情報収集や勉強に励んでいるらしいです。
歳が近くて仲の良いカッチーこと田中勝春騎手も今年から受験を決断して、福島辺りから騎乗を自粛して試験に備えているみたいですよ」(競馬記者)
北海道開催では息子2人と久々の競馬。和生騎手も一時期の低迷から順調に勝ち星を挙げており、今年の日本ダービー(G1)をエフフォーリアで敗れた武史騎手を温かく見守る姿もあった。騎手という同じ職業で息子の晴れ舞台を見られるのも、父親冥利に尽きるだろう。
「勝っても負けても本当に楽しそうでしたね。最近はレースに乗る機会が減っていたので実戦勘がどうなのかなと思いながら見ていましたが、さすがの技術でした。特に内枠の捌きなんかは一級品ですよ。息子2人と乗るのがさぞ嬉しかったのでしょう。
土曜は騎乗した3鞍全て馬券圏内に持ってきて1つ勝ちましたし、モチベーションの高さも感じました。日曜の関屋記念でも積極的にハナを取りながらも、実はスローペースという絶妙な逃げ。負けはしましたが、競馬を作ったのは間違いなくノリさんでしたね」(同)
また、現場からも横山典騎手について「まだまだ技術は衰えていませんよ!乗ってないレースでも競馬をよく見ていますし、やる気はあると思います」と、ベテランの手腕を高く評する声も根強い。これには本人も「まだ全然やれると思っているけど、なんせ依頼がないからな。こればっかりは仕方ない」と淋しがっていた。
ただ、調教師試験合格はかなりの難関といわれており、勉強してもなかなか頭に入らなくて苦労しているとこぼしているという話も聞こえてくる。
「数多くのG1を勝っていますし、通算勝利数も3000勝に近い功績を考えたら、JRAも特例で合格させてもいいと思うのですが……」と、同情する声も関係者からは出ていたようだが、JRA通算1000勝以上の騎手に許された1次試験免除の特例が廃止になった現状もある。
同じように苦しんだ蛯名師は、3度目の受験で見事に合格。非常に険しい道のりかもしれないが、近い将来「調教師」横山典弘が誕生することに期待したい。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
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