JRA3番人気が「紙くずの悪夢」から4カ月、藤岡佑介に迫る乗り替わりの重圧!? 飛躍を誓うバスラットレオンに意外な選択肢も浮上か

12日の中山メインレース京成杯AH(G3)。秋競馬の開幕週を飾るハンデ重賞は、実績ある古馬と、胸を借りる立場の3歳馬が激突する一戦だが、今年は3歳勢の2頭に注目が集まっている。
昨年の朝日杯FS(G1)を制したグレナディアガーズ(牡3歳、栗東・中内田充正厩舎)は、今年5月のNHKマイルC(G1)3着以来の出走。11月6日に米国デルマー競馬場で行われるブリーダーズCマイル(G1)挑戦を明言しており、前哨戦とはいえ無様な競馬はできないだろう。
もう一頭は、2走前のNHKマイルCでスタート直後に落馬したバスラットレオン(牡3歳、栗東・矢作芳人厩舎)。G1レースで3番人気に推された人気馬の競走中止は、その馬名がTwitter上でトレンド入りするなど大きな話題を集めた。
続く日本ダービー(G1)では15着に沈んだものの、レース前に同馬を管理する矢作師が「何が来てもハナを切る」と力強く宣言した通りの“逃げ”を披露。ハナに立つ競馬でこそ好走している快足の持ち主は、3走前のニュージーランドT(G2)で見せた圧巻の“逃走劇”が印象深い。
ところが今回のバスラットレオンは、逃げるとは限らない。
今週の追い切り後、岡勇策調教助手は「これまでハナに立っての良績がありますが、これから我慢する競馬も教えていこうかなと厩舎スタッフでは話しています」とコメント。さらに「先週今週と馬の後ろで我慢した調教がレースで活きてくればと考えています」と続けたことから、デビュー以来初となる“控える”競馬をみせる可能性が浮上した。逃げるか、控えるか……となれば、継続騎乗予定の藤岡佑介騎手の手綱さばきに注目が集まる。

一方、藤岡佑騎手といえば、ここ近年は素質馬に巡り合いながら、重賞レースになると乗替わりの憂き目にあっている。
2019年は9月の新馬戦からクラヴァシュドールとコンビを組み、快勝後に挑んだ10月のサウジアラビアRC(G3)で2着、続く阪神JF(G1)でも3着を確保するなど結果を残したにもかかわらず、陣営は年明け初戦のチューリップ賞(G2)からM.デムーロ騎手に鞍上をチェンジ。
さらに昨年の例を挙げるなら、桜花賞、オークス、秋華賞といったG1に出走したミヤマザクラだろう。デビューから2戦連続騎乗して未勝利戦を脱出するなど、ここでも結果を残した藤岡佑騎手だが、3戦目の京都2歳S(G3)はO.マーフィー騎手が騎乗。以降、福永祐一騎手や武豊騎手へと乗替わりが続いた。
バスラットレオンの鞍上を振り返れば、デビュー戦こそ藤岡佑騎手が務めたものの、その後は矢作厩舎所属の若手騎手2人が騎乗。2戦目の札幌2歳S(G3)から5戦目のシンザン記念(G3)まで坂井瑠星騎手が騎乗したほか、6戦目の1勝クラスでは古川奈穂騎手が乗り役を務めた経緯がある。
前述した通り、今回のバスラットレオンが逃げるか控えるかでレースの行方を左右しそう。藤岡佑騎手にとっても不本意な騎乗をすれば、クラヴァシュドールやミヤマザクラのような、乗替わりの“悪夢”が頭をよぎるかもしれない。現在は海外遠征中の坂井瑠騎手や、ケガで休業中の古川奈騎手に今後の鞍上を譲らないためにも、今回はより一層力の入る一戦となるだろう。
先々を見据えて、脚質に幅を持たせるための試金石となる一戦を迎えるバスラットレオン。今秋のマイルCS(G1)などのマイル重賞でコンビ継続するためにも、乗替わりの“悪夢”は避けたい藤岡佑騎手。人馬にとって、今後の飛躍を占う大事な京成杯AHになりそうだ。
(文=鈴木TKO)
<著者プロフィール> 野球と競馬を主戦場とする“二刀流”ライター。野球選手は言葉を話すが、馬は話せない点に興味を持ち、競馬界に殴り込み。野球にも競馬にも当てはまる「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」を座右の銘に、人間は「競馬」で何をどこまで表現できるか追求する。
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