
JRA C.ルメール「サトノレイナス・ショック」で1番人気17着大敗……紫苑S(G3)「重賞では大変でした」フィエールマンの全妹、地方馬に敗れる“ブービー”
11日、中山競馬場で開催された秋華賞トライアル・紫苑S(G3)は、福永祐一騎手が騎乗した2番人気ファインルージュ(牝3歳、美浦・岩戸孝樹厩舎)が優勝。桜花賞(G1)3着馬が、1月のフェアリーS(G3)に続いて中山重賞を制した。
その一方で、G1実績のあるファインルージュを差し置いて1番人気の支持を受けたのが、C.ルメール騎手が騎乗したエクランドール(牝3歳、美浦・手塚貴久厩舎)だ。
19年・20年天皇賞・春(G1)連覇など、G1・3勝を誇るフィエールマンの全妹という超良血馬。浅いキャリアながら2戦2勝と無敗な点に加えて、4年連続リーディングジョッキーが鞍上ということが評価されて人気を集めた。
2頭が除外されるフルゲート18頭立ての芝2000m戦。最終的に単勝オッズ3.5倍に支持されたエクランドールだが、二の脚がつかず。各馬が開幕週の前有利な馬場を考慮して、位置を積極的に取りにいったため、出遅れた同馬は後方2番手からの追走を余儀なくされる。
アビックチアが1000m59秒7で軽快に逃げるなか、依然後方は変わらず。4コーナーで大外に回して直線に入るも先頭は遥か先……ルメール騎手がステッキを2発入れるも、最後までデビュー2戦で見せた末脚は発揮されなかった。
「休養を挟んで、毛ヅヤが良くなった。素質はここでも通用する」と、先週の新潟記念(G3)を制覇した手塚師が自信を持って送り出したが、結果は最低人気で地方競馬所属のキヨラらにすら先着を許すブービーとなった。
「重賞では大変でした。ゲートも出て行かなかった」と、言葉少なに敗戦の弁を述べたルメール騎手。しかし、騎手自身も大変な状況になっているようだ。

紫苑S発走の約1時間前。G1で2着2度の実績があるサトノレイナス(牝3歳、美浦・国枝栄厩舎)の骨折が発表された。サトノレイナスはこれまで全戦ルメール騎手が鞍上を務めている馬で、来月の秋華賞へ直行予定だった。
騎乗予定馬の突然の回避ということで、ルメール騎手も騎乗馬確保のためエクランドールで秋華賞の優先出走権を確保したかったはず。だが、余程ショックだったのか、騎手も本来の輝きを発揮することなくレースを終えてしまった。
皮肉なことに優先出走権を得た3頭には、いずれもルメール騎手の騎乗経験がある。1度だけ組んだミスフィガロはまだしも、優勝したファインルージュは1月に重賞を制したときにコンビを組んでおり、スルーセブンシーズもルメール騎手と組み2勝していた。
秋競馬開幕日ということで待ちに待ったファンも多くいたと思われるが、ルメール騎手にとっては先が思いやられる秋競馬初日だったかもしれない。
(文=寺沢アリマ)
<著者プロフィール>
大手スポーツ新聞社勤務を経て、編集部所属のライターへ。サラ系・ばん馬のどちらも嗜む二刀流で「競馬界の大谷翔平」を目指すも収支はマイナス。好きな競走馬はホクショウマサル。目指すは馬券的中31連勝だが、自己ベストは6連勝と道は険しい…。
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