JRA“慎重すぎ”「ダービートレーナー」の判断に賛否両論!? “メイケイエール2世”のデビュー戦が2度目の持ち越し……

秋競馬が幕を開ける11日(土)、中山競馬場ではアスター賞(2歳1勝クラス)が行われる。
近年の勝ち馬からはメジャーエンブレム(2015年)とノームコア(17年)の2頭が後にG1馬に上り詰めており、特に牝馬にとっては縁起がいいレースといえるだろう。
今年の注目は白毛馬のハイアムズビーチ(牝2歳、美浦・萩原清厩舎)。母は交流重賞3勝のユキチャンなので、いわゆるシラユキヒメ一族だ。1世代上で、いとこのソダシと同じようにデビュー2連勝を飾れば、年末の阪神JF(G1)も視界に入ってくる。
8日に行われた美浦南ポリトラックでの最終追い切りは、同厩のルージュエクレール(2歳新馬)と併せて半馬身先着。萩原調教師は「追い切りの動きは良かった」と合格点を与えたが、「距離延長と相手関係がカギ」と慎重な姿勢も見せている。
萩原調教師といえば、ロジユニヴァースで09年日本ダービー(G1)を制するなどG1を通算4勝している名トレーナー。だがその一方で、かねてからレース前のコメントなどは非常に「慎重」なことで知られている。
「調教師にも色んなタイプがあります。かつてサクラバクシンオーを管理した境勝太郎調教師などは常に強気なコメントを残すため、『境ラッパ』などと呼ばれていました。基本的にはそういう(強気なコメントを残す)調教師が多いのですが、萩原調教師はとにかく慎重です。コメントももちろんですが、2歳馬がデビューするタイミングなどに関しても非常に慎重なところがあります」(競馬誌ライター)
萩原調教師は『中山馬主協会』のホームページ上に公開されている『キャプテン渡辺のウィナーズサークル』というインタビューで、デビュー前の2歳馬の苦労について聞かれ、次のように語っている。
「馬がレースに出られるまでは、気を遣う部分は多くあります。脚元もまだ固まっていませんから、調教で強い負荷はかけられないですし、馬によってはレースへ向けて時間をかけて少しずつ進んでいくケースもあります」
詳細は本記事をご覧いただきたいが、萩原調教師の馬に対する愛情、馬第一主義の姿勢が強く伝わってくる言葉だ。
そんな萩原調教師が管理する今年の2歳馬には、ハイアムズビーチ以外にもう1頭のシラユキヒメ一族の期待馬がいる。8日の追い切りでハイアムズビーチと併せたルージュエクレール(牝2歳、美浦・萩原清厩舎)だ。
母は現役時代にダートで3勝したマーブルケーキで、祖母がシラユキヒメ。ハイアムズビーチとはいとこの関係にあたる。ただし、本馬は鹿毛なので、白毛のハイアムズビーチがソダシ2世なら、こちらはメイケイエール2世というイメージだろうか。
そのルージュエクレールだが、本来は今週日曜日の中山新馬戦でデビューする予定だった。最終追い切りではハイアムズビーチに後れを取ったが、タイムもまずまず。そのままデビューを迎えるとみられていた。
だが、9日(木)になって突如出走を見送り、1週スライドすることが発表された。
「クラブ(東京サラブレッドクラブ)によると、右前肢の出があまり良くないということで登録を見送ったようですね。翌日には歩様も改善したということですが、大事を取っての判断だと思います。いかにも萩原調教師らしいですね」(同)
実はルージュエクレールにとって、デビュー延期は今回が2度目。もともと6月の札幌でデビュー予定だったが、飼い葉食いがあまり良くなく、馬体重も増えてこないことを理由に見送っていた。
仕切り直しのデビュー戦が再び持ち越しとなり、ファンからは「さすが馬優先主義の萩原師」、「なんとも、慎重派の萩原調教師らしい」といった声がある一方、「6月といい、今回といい……」「このままズルズル行かないといいけど」といった否定的な声もある。
白毛の史上最高傑作ソダシを筆頭に、一大勢力を築きつつあるシラユキヒメ一族。ルージュエクレールは、萩原調教師の先を見据えた今回の判断が正しかったことを証明できるだろうか。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。
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