JRA「致命的な不利」に武豊が検量室で怒り爆発!? 後のダービー馬を襲った「痛恨」アクシデント
30日、モモセライディングファームで繋養中だったテレグノシス(牡23歳)が死亡したと、ジャパンスタッドブックインターナショナルが発表を行った。
父トニービン、母メイクアウィッシュの間に生を受けた牡馬の現役時代は37戦5勝。東京巧者として知られた父の産駒の特徴がよく当てはまる馬で、重賞3勝含む全5勝は全て東京競馬場で挙げたものだった。
そんなテレグノシスを語る上で欠かせないのが、唯一のG1勝ちとなった2002年のNHKマイルC(G1)だろう。
重賞初挑戦となったスプリングS(G2)で、後のダービー馬タニノギムレットの2着に好走した後の一戦。皐月賞(G1)の優先出走権を獲得したものの、出走せず。間隔を空ける万全の態勢を整えた陣営が選択したのは、得意の東京コースで行われる3歳マイル王決定戦。
3枠9番タニノギムレットが単勝1.5倍の圧倒的な支持を得るなか、1枠1番のテレグノシスは単勝14.3倍の4番人気。フルゲート18頭立てのレースは、スペシャルストックが半マイル45秒3と飛ばすハイペースで流れた。
馬群が横に広がった東京の長い直線を馬場の真ん中から抜け出してきたのは、テレグノシス。同じく後方からアグネスソニックら追い込み勢も脚を伸ばしたが、先頭の差は詰まらず。現ラジオNIKKEI・小林雅巳アナウンサーの「勝浦やった!」の台詞とともにゴールイン。
当時デビュー6年目の鞍上・勝浦正樹騎手、管理する杉浦宏昭厩舎もG1初勝利と、人馬揃っての快挙に府中が湧くと思われた。
だが、そんな陣営の歓喜とは裏腹に、東京競馬場のターフビジョンに映し出されたのは、審議の青いランプ。対象となったのは、勝ち馬のテレグノシスだった。
「最内からのスタートだったテレグノシスは、道中はインで脚を溜めて、直線で外に出すというレース内容でした。ただ、外に持ち出す際の斜行で、2度も武豊騎手のタニノギムレットの進路を妨害。その結果、タニノギムレットは行き場を失くし、3着に滑り込むのが精一杯でした。
武騎手は検量室で勝浦騎手を見つけるや否や、大激怒。普段は冷静で声を荒げることの少ない人柄だけに周囲の人は驚きを隠せなかったようです。致命的な不利を受けたこともあり、よほど腹に据えかねたのでしょう」(競馬誌ライター)
約20分にも及ぶ長い審議が行われ、慎重に協議されたが、結局入線通りの結果で着順変更はなし。タニノギムレットの不運について、当時競馬実況で解説を担当していた評論家の柏木集保氏は「神が味方していない」と、同情したほどだった。
加害者となってしまったテレグノシスはその後、G1タイトルに縁がなかったものの、勝浦騎手を背に毎日王冠や京王杯スプリングCと府中伝統のG2を勝利。斜行のイメージを払拭させ、「東京巧者」「勝浦騎手との名コンビ」と、個性派キャラとして認知されたのは、ひとえにテレグノシスの奮闘があったからに違いないだろう。どうか安らかに。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……
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