
JRA「超異例」デビュー半年前に“去勢”した珍名馬が「144戦0勝」舞台でメイクデビュー、3冠馬オルフェーヴル撃破“名セン馬”の再来はあるか!?
12日、中京5R(芝2000m)の2歳新馬戦に話題を振りまきそうな馬がデビューする。
その馬の名前はロストボール(セン2歳、栗東・小林真也厩舎)。馬名の由来は、ラフなどに打ち込まれた見当たらなくなったボールを意味する「ゴルフ用語」である。
「ロストボールは半年前の今年3月上旬に去勢手術を受け、すでにセン馬になっています。海外では珍しくないですが、2歳馬、ましてやデビュー前の若駒が去勢されるというのは国内ではあまり聞いたことがありません。
そして、もうおわかりかと思いますが、この馬が密かに注目されている理由がその馬名です。オーナーの大田恭充氏も馬名を申請する際のエピソードを自身のTwitterで明らかにしています」(競馬誌ライター)
名付け親の大田オーナーは1月下旬に「申請してみた」とつぶやき、実際に申請したとみられる第1希望から第3希望までの馬名とその由来を記している。当該ツイートによると、第1希望「ロストボール(ゴルフ用語)」、第2希望「キントッタマン(金メダルを取った人)」、そして第3希望「キンメダルマン(金メダルを取った人)」だった。繰り返しになるが、ロストボールはゴルフ用語であり、“ロスト”したのはゴルフボールであるはずだ。
「結局、第1希望のロストボールが認可されたようですが、本命は第2希望のほうだったようで、『キントッタマンを第一希望にする勇気は無かったw』と自虐的ツイートをしています。
競馬ファンの格好のネタにされそうな馬名ですが、ロストボール自身は坂路でもまずまずいい時計を出しています。珍しい2歳セン馬として活躍を見せてくれる可能性は十分あると思いますよ」(同)
デビュー前に去勢されて活躍した馬といえば、レッドデイヴィスを思い出すファンも多いのではないだろうか。2010年、2歳夏に去勢されると、デビュー3戦目で勝ち上がり、3歳初戦のシンザン記念(G3)を制覇。このとき2着に破ったのが、その年の3冠馬オルフェーヴルだった。
レッドデイヴィスは続く毎日杯(G3)も制した、セン馬はクラシックに出走できないため当時は「陰の世代最強馬」という声も多かった。その後、骨折で休養に入ったが、復帰初戦の鳴尾記念(G3)も勝って、3歳の年末には有馬記念(G1)にも出走している。
レッドデイヴィスという成功例があるだけにロストボールにも期待したいところ。しかし、おそらく活躍するとすれば、主戦場はダートになるだろう。
ロストボールの父はNARグランプリ年度代表馬に4度輝くなど地方のダートで長く活躍したフリオーソ。種牡馬としては19年の東京ダービーを制したヒカリオーソなどを出している。
その産駒は中央でも走っていて、先週末時点で通算71勝を挙げている。しかし、その勝利はすべてダートで挙げたもの。芝ではなんと144戦して、いまだ勝ちがない。芝でデビューするロストボールにとっては、いきなり高い壁が立ちはだかることになる。
大田氏はJRAの馬主資格を取って日が浅い新鋭オーナー。所有馬はまだ多くないが、ドスハーツがオープンで活躍している。ロストボールにはそれを超える“金メダル級”の活躍を期待していることだろう。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。
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