
巷に出回る川田将雅「長距離苦手説」をデータで検証、阪神大賞典(G2)で気になる「13年未勝利」の課題…リーディングジョッキーの意外な過去

「長距離は騎手で買え」
これは古くからまことしやかに囁かれる競馬の格言のひとつだ。具体的にどこがどう違うのかと言われると、言葉に詰まりそうな話ではある。
だが、シンプルに例えれば上手い騎手が長い距離に乗るのと、そうではない騎手が乗るのとでは、道中の折り合いや進路取りに大きな差が出るといえる。そういう意味では、距離が短ければ短いほど、両者の差が小さくなるともいえるだろう。
実際、名手と呼ばれた岡部幸雄元騎手やレジェンドといわれる武豊騎手、関東の大ベテラン横山典弘騎手なども長距離戦を得意としている。C.ルメール騎手もフィエールマンとのコンビで菊花賞(G1)を優勝し、天皇賞・春(G1)を連覇した。彼らの共通点は全国リーディングを獲得していることだ。そう考えると「長距離は騎手で買え」という格言にも説得力がある。
ところが、この格言にいまひとつフィットしない印象が残る騎手もいる。それは、昨年のリーディングジョッキーに輝き、騎手大賞を受賞した川田将雅騎手だ。
先週の開催でも6勝を加算し、ここまで35勝を挙げて1位。ルメール騎手から奪首に成功した。今年ここまで複勝率71.4%の数字も他のライバルを大きく上回る。今や川田騎手の騎乗馬を買わずして、馬券が的中できないといえるほどの存在となった。
にもかかわらず、その川田騎手に「長距離苦手説」が付きまとうのはなぜだろうか。
ネットの掲示板やSNSでも川田騎手の長距離は割引という言葉を目にすることもあるのだが、実際にこれまでの長距離成績を確認してみたい。
「長距離苦手説」をデータで検証
判断基準としたのは、芝2500m超の重賞における過去の成績。コントレイル陣営が、芝2400mのジャパンC(G1)を選択して芝2500m の有馬記念(G1)を回避する理由として、当時の福永騎手が「自信がない」と漏らしたという記事を参考にした。
川田騎手がデビューした2004年から先週末の開催まで集計したのだが、意外な事実が見えてきた。
芝2400mまでの成績は、【9.5.7.48/ 69】で勝率13.0%、連対率20.3%、複勝率30.4%と悪くない成績だ。こちらについては、さすが名手と唸らされたのだが、芝2500m以上の距離になると、まるで別人のように数字が悪化する。
なんと【2.4.7.51/64】で勝率3.1%、連対率9.4%、複勝率20.3%まで落ちてしまっているのだ。確かにこの数字を見せられると、長距離戦が苦手といわれても納得せざるを得ない気にもなってくる。
ちなみに2勝の内訳は、ポップロックで制した2006年の目黒記念(G2)とビッグウィークで制した2010年の菊花賞というもの。つまり、それから13年間も芝の長距離重賞で未勝利が続いているのだ。
あくまでこれは筆者の個人的な意見であるが、先述した長距離を得意な騎手たちは、どちらかというと馬優先主義の傾向も特徴だ。
道中でいかに馬の気分を損なうことなく、気持ちよく走ってもらうかというテーマで騎乗していることは、川田騎手も同じと思われる一方で、彼らのイメージが「柔」なのに対し、川田騎手の場合は「剛」に近い。ソツのないポジション取りでレースを支配するタイプだけに、中距離までなら卓越した勝負勘と剛腕が生きるシーンも多いのだろう。
だが長距離の場合、「騎手>馬」よりも「馬>騎手」で考えるタイプが向いているともいえそうだ。九州男児でもある川田騎手は、過去に出演したTV番組で「どちらが上か馬に分からせる」といったニュアンスの話をしたこともある。
これに対し、かつて癖馬のゴールドシップに騎乗した横山典騎手が、レース中に「お願いします、走ってください」と話しかけながら乗っていたという逸話があるが、こういったところも、川田騎手とキャラクターの違いが垣間見えるエピソードかもしれない。
2020年の阪神大賞典でコンビを組んだキセキでは、折り合うことができないまま、1番人気を裏切る7着に敗れた川田騎手。今年こそボルドグフーシュと“汚名返上”といきたいところだ。
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