地方競馬に「珍名の怪物」現る!? 「次元が違う」地方の名手唸らす2歳秋、古馬G1並みパフォーマンスも気になる馬名の由来
名前も強さも「桁違い」の怪物が登場したかもしれない。
20日、大井競馬場で行われたゴールドジュニア(S3)は、2番人気のママママカロニ(牡2歳、大井・森下淳平厩舎)が優勝。デビューから無傷の3連勝を決めて、11月に行われるハイセイコー記念(S1)への優先出走権を獲得した。
13頭の若駒によって争われたダート1200m戦。ママママカロニは五分のスタートを決めると、二の脚の速さで3番手へつける。前半3ハロン34秒8と2歳戦にしては速いペースで流れたが、同馬はペース関係ない圧巻の走りをここから見せる。
4コーナーで持ったまま先頭へ外から並びかけると、直線で瞬く間に逃げる1番人気コパノミッキーを交わして単独先頭に。鞍上の矢野貴之騎手が後ろを振り返る余裕があるほど、グングン後続を離していった。その間も鞍上のステッキは入らず。ゴール前では「持ったままママママカロニ」と、アナウンスされたほどだ。
着差はなんと9馬身。これだけでも十分凄いのだが、更に驚くべきは2歳の9月で1分11秒5(稍重)を叩き出した勝ち時計だ。この時計は馬場状態の違いはあるが、同舞台で4月に行われた東京スプリント(G3)を勝利したリュウノユキナと同タイム。経験豊富な矢野騎手も「この時計は次元が違う」と、舌を巻いたほどである。
「ママママカロニは珍名であることを忘れさせるくらい圧巻の走りでした。持ったままで今年の東京スプリントと同じ時計ですからね。矢野騎手が追っていたら、もしかしたら昨年のJBCスプリントに匹敵する1分10秒台が出ていたかもしれません」(競馬誌ライター)
誰もが驚愕するレース内容と勝ちっぷりだったが、どうしても気になってしまうのが「ママママカロニ」という馬名である。一体どのような意図があって名付けられたのだろうか。
「ママママカロニのオーナーは山口裕介オーナーです。山口オーナーは北海道浦河町の育成牧場『山口ステーブル』の代表です。
音楽グループ『Perfume』のファンである山口オーナーは、所有馬へPerfumeにちなんだ名前を名付けることが多いです。昨年話題になったリフレイム(牝3歳、美浦・黒岩陽一厩舎)もPerfumeのコンセプトライブ名です。
そして、ママママカロニもPerfume関連で名付けられました。Perfumeの楽曲に『マカロニ』があって歌詞に『ママママカロニ』というフレーズがあります。それから名付けたことを匂わせるかの如く、レース後に山口ステーブル公式TwitterアカウントがYouTubeの『マカロニ』PVのリンクを貼ってツイートしています」(同ライター)
育成段階で角壁腫という珍しい蹄の病気を発病し、能力検査後は挫跖でデビューが延期。更に、デビュー後は捻挫で2戦目が延期と順調さを欠くことが多かったママママカロニだが、2戦目勝利後から軌道に乗って今回のパフォーマンスを見せた。
今後Perfumeのように世界を股にかける馬へ成長することを期待したい。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……
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