かつての「最強世代」筆頭候補が転落一途の波乱万丈!? 低迷続いた「21連敗」から3年ぶりの美酒、憧れ舞台ダービーと同じ距離でスランプに終止符!
1日、JRAでは牝馬の重賞・クイーンS(G3)が函館競馬場で開催。C.ルメール騎手のテルツェットが1番人気マジックキャッスルをクビ差で破って勝利した。
東京オリンピック開催の関係で2場開催ということもあり、この日の重賞はクイーンSのみと、少々物足りなさを感じる週末でもあった。
そんな中、函館から近い岩手の盛岡競馬場で行われた交流重賞・せきれい賞では、8歳馬ロードクエスト(大井・渡辺和雄厩舎)が地方移籍2戦目で早速の勝利を挙げた。
2月の小倉大賞典(G3)10着を最後に地方に移籍したロードクエスト。初戦の大井記念(S1)では9番人気で13着と振るわず、キャリア初のダートに能力を発揮することが出来なかった。
しかし、一転して芝のコースに戻った2戦目では、別馬のような鮮やかな勝利を披露した。やはりJRA在籍時に重賞3勝を挙げた芝でこそ、本来のパフォーマンスを発揮することが出来たのだろう。
2018年のスワンS(G2)で安田記念馬モズアスコットを破った実力馬も、この勝利を最後に21連敗と勝利から遠ざかっていた。
遡ること6年前、15年6月に東京でデビュー勝ちしたロードクエスト。2戦目の新潟2歳S(G3)を4馬身差で大楽勝して評価はうなぎ上りとなる。M.デムーロ騎手とのコンビで挑んだ暮れのホープフルS(G2・当時)は、単勝1.9倍の断然人気に支持された。
このレースを勝って堂々のクラシック最有力候補に名乗りを上げたかったロードクエストだが、先に抜け出したハートレーを捕らえることが出来ずに1馬身1/4差で初の敗戦。それどころか、次走のスプリングS(G2)でも単勝1.7倍に推されながら3着に敗れてしまう。
NHKマイルC(G1)こそ2着に健闘したものの、皐月賞(G1)で8着、日本ダービー(G1)で11着と、かつてのクラシック候補としては残念な結果に終わった。この年の牡馬クラシックは皐月賞馬ディーマジェスティ、ダービー馬マカヒキ、菊花賞馬サトノダイヤモンドの三強が覇を争った世代。これ以外にもリオンディーズやエアスピネルら伏兵陣も粒揃いで、当時は最強世代の呼び声もあったほどハイレベルの激戦を繰り広げていた。
一方のロードクエストはダービーの惨敗を機に短距離中心のローテーションに路線を変更。秋の京成杯AH(G3)を勝利したものの、G1タイトルには縁がないまま地方への移籍という結果に落ち着いた。
そして迎えた芝2400mのレース。3歳時に憧れたダービーの舞台と同じ距離であり余るスピードを披露し、道中で中団外目から一気に先頭を奪い切るとそのままゴールまで押し切っての勝利。振り返れば最後の勝利を挙げたスワンSから約3年ぶりの美酒だった。
陣営が懸念した距離の不安も一蹴した勝利に、コンビを組んだ山崎誠士騎手は「やはり馬の力がね、強かったですね」と高い評価。次走も芝のOROカップを予定しているとのこと。
輝きを取り戻した地方の芝の舞台。次はどのようなレースを見せてくれるだろうか。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
PICK UP
Ranking
17:30更新- ルメール軍団「誤算続き」で迷走中?使い分けの弊害に一部ファンから疑問の声
- クロワデュノール「世代最強説」に現実味も…ダービー馬候補が未勝利戦より遅い時計の怪
- 武豊×ドウデュース完全包囲網で波乱含み!?豪華メンバーのジャパンCにチェルヴィニア、ブローザホーン、オーギュストロダンら最強メンバー集結。レジェンド元JRA騎手の見解は?
- 「別競技」の高速馬場で欧州最強マイラーの意地見せたチャリン!ジャパンC参戦オーギュストロダン、ゴリアットに朗報?
- C.ルメール「アンラッキー」な過怠金に謝罪…マイルCSでも「牝馬のC.デムーロ」の手綱冴えるか?
- エアスピネル降板に武豊騎手は「何」を思う……8年前、すべてを手にしてきた天才騎手が”最大級”の屈辱を味わった「ウオッカ事件」とは
- 【京都2歳S(G3)展望】藤田晋オーナーの大物エリキングが登場! ジョバンニ、サラコスティがリベンジに燃える
- 【ジャパンC(G1)展望】「ディープ」オーギュストロダンVS「ハーツ」ドウデュース、2005年有馬記念から19年越しの最終決戦!
- 春のG1戦線に水を差す「醜聞」続く…現役騎手の父に詐欺容疑、G1馬オーナーが逮捕
- 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
関連記事
JRA C.ルメール完璧エスコートで「夏休みバッシング」封印!? 人馬揃って“休み明け”コンビが秋G1に名乗り、「ルメさんにやられた」マジックキャッスル惜敗に国枝師も脱帽
有馬記念後のホープフルS「1年で復活」に大ブーイング!? ファンの声が届いたわけではなかった昨年の特殊事情と、JRAが避けたい「約62億円」の損失
凱旋門賞(G1)にまたも「新星」出現! 世界女王スノーフォール&ラブと激突か……「去年よりも強くなっている」未完の大器が4連勝でいよいよ本格化
JRA福永祐一「来年まで楽しみ」ルージュスティリアはまるでワグネリアン!? シャフリヤールの黄金タッグが揃って高評価、強過ぎた故に陥った誤算「下手に乗った」と反省
JRA ソダシに続く「女王候補」誕生も……、3馬身半差の圧勝デビューのベルクレスタがクラシック戦線で苦戦するかもしれない「理由」とは