
JRA『ウマ娘』5億円ホースVS最年少新人女性ジョッキーの680万円ホース!? 「待ち受け」愛馬で狙うは下剋上!?
10月2日の中京9R・ききょうS(OP)は、2歳オープンの一戦。出走馬の中で注目を集めるのが、スマホゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』(Cygames)で知られるサイバーエージェントの藤田晋社長を馬主に持つドーブネだ。
千葉サラブレッドセールで5億1711万円(税込)で落札された、ディープインパクト産駒の2歳牡馬。9月6日、札幌5Rの新馬戦で武豊騎手が手綱を取り、藤田社長にJRA初勝利をプレゼントして以来の出走となる。今回は武豊騎手が凱旋門賞(G1)へ挑戦するため、吉田隼人騎手が手綱を取る。
デビュー戦後、武豊騎手は「まだまだ粗削りだが素質はある」とコメント。父親譲りの切れ味を備えた5億円ホースのコンビが、ききょうSの話題を独り占め……という向きに「待った」をかけるのが、5億円に対してわずか680万円で取引されたホワイトターフ(牝2歳、栗東・新谷功一厩舎)と、新人女性ジョッキーの永島まなみ騎手のコンビだ。
8月29日、小倉での新馬戦を快勝してききょうSに挑むホワイトターフは、クラブ法人として有名な馬主ノルマンディーサラブレッドレーシングの所有馬。同馬の出資金は一口1.7万円で満口の400口が集まり、合計680万円で募集された馬だ。
その新馬戦では、上手にゲートを出てから積極的な先行策。4角入り口で先頭に立つと、馬場の良いところを選びながら、最後の直線もしっかりと伸びて初勝利をマークした。「一頭になるとフワッとする感じがありましたが、内から他馬がくると集中して走ってくれました」と、同馬の末脚も然ることながら、相棒の気性面を掴んだ永島騎手の好騎乗も光った一戦となった。
初勝利後は小倉2歳S(G3)への参戦も検討されたが、満を持してききょうSへの出走を決めたホワイトターフ。コンビを組む永島騎手は『netkeiba.com』で連載中の『ねぇさんのトレセン密着』取材に「性格もしっかりしていて、内に秘めている強さを感じています」と評価。さらに「普段もすごく可愛くて待ち受けにしています」とは、まだ18歳の女性のあどけなさを感じさせるコメントといえるだろう。
現在、JRAには3人の女性ジョッキーがいる。実績面でトップに立つのは、デビュー6年目の藤田菜七子騎手。積み重ねた通算勝利数はJRA通算139勝と、2人の新人女性騎手にとって “高い壁”として君臨している。
2人の女性ルーキー騎手を比較すると、3月13日の初白星から4週連続で勝利を記録するなど、派手なデビューを飾った古川奈穂騎手に対して、永島騎手は比較的地味な存在といえるかもしれない。
ところが藤田菜騎手は、左鎖骨に埋め込んだプレート除去の手術を受けたため、先週の競馬は騎乗せず。古川奈騎手もリハビリを終えて、秋の阪神開催が開幕する10月9日からの復帰が発表されたばかりだ。
こうした事実を考慮すると、デビュー以来ここまで大きなケガをせず、唯一休みなく騎乗している永島騎手は、もっと評価されてもよいだろう。騎乗数が少ないなど様々な諸事情があるにせよ、同騎手の奮闘ぶりは立派のひと言。ホワイトターフの継続騎乗を決めたのも、酷暑に耐えて参戦し続けた夏競馬があったからに他ならない。
24歳の藤田菜騎手や、同じルーキーながら年上の21歳の古川奈騎手に対して、デビュー以来休むことなくターフで躍動する、若干18歳の永島騎手。 “お手馬”となったホワイトターフとのルーキーコンビは、5億円ホース・ドーブネにひと泡吹かせることができるか。
680万円で募集された2歳牝馬と、最年少新人女性ジョッキーのコンビが、ききょうSでどんな走りをみせるか注目したい。
(文=鈴木TKO)
<著者プロフィール> 野球と競馬を主戦場とする“二刀流”ライター。野球選手は言葉を話すが、馬は話せない点に興味を持ち、競馬界に殴り込み。野球にも競馬にも当てはまる「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」を座右の銘に、人間は「競馬」で何をどこまで表現できるか追求する。
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