JRA デビュー10年目の苦労人「こんなに負ける馬ではありません」騎手・厩舎の重賞初勝利を背負った1番人気に一体何が……?

2日、中京競馬場でシリウスS(G3)が行われ4番人気のサンライズホープ(牡4歳、栗東・羽月友彦厩舎)が優勝。
鞍上の幸英明騎手は「よく頑張ってくれました。今日は力のあるところを示してくれて良かったです」と、満足気にコメントした。
対して予想を大きく裏切る結果に終わってしまったのが、1番人気ながら、まさかの最下位16着に敗れてしまったゴッドセレクション(牡3歳、栗東・今野貞一厩舎)だろう。
馬・騎手・厩舎の3者全ての記念すべき重賞初勝利がかかっていたレース。鞍上を務める中井裕二騎手はデビュー10年目で重賞未勝利の苦労人だ。今野師から「中井に合いそうな馬がいる」と、紹介され2戦目から騎乗しているだけに「僕が勝ちたいのはもちろんですが、ゴッドに何とか重賞を獲らせたい」と、思い入れは強い。
前走のジャパンダートダービー(G1)2着など重賞で惜敗が続いていただけに、陣営も「今度こそは」という気持ちで仕上げた。今野師は「順調に調整してこられました。1勝クラスとはいえ、中京は圧勝したイメージのいいコースですし、今後に向けてもいいパフォーマンスを」と、自信を見せていたが……。
16頭立てのダート1900m戦。3枠6番のゴッドセレクションは「抜群のスタートを切ってくれました」と、中井騎手が振り返るほどの先行力を見せて2番手の好位を確保した。
番手はゴッドセレクションにとっての勝ちパターンだ。今年のレパードS(G3)優勝馬メイショウムラクモを下した伏竜S(OP)も、番手から押し切っている。中井騎手も「1つ内の馬(5番のリアンヴェリテ)を行かせて、ペースを流すようにもできて理想の形になったんですが」と、回想している。
ただ、3コーナー付近からゴッドセレクションに異変が見られ始める。「3コーナーの手応えがいつも以上に悪かったんです」と、勝ちパターンから一転してピンチに陥った。
中井騎手が懸命に手綱を動かし、ゴッドセレクションへスパートを駆けるよう促すも虚しく。外から楽な手応えでサンライズホープが交わすと、ゴッドセレクションは早々に馬群の中へ沈んでいった。
「こんなに負ける馬ではありません。何か原因があるのかもしれません」
レース後、中井騎手はそう語った。少なくとも能力云々の話ではなさそうだ。そうなると、故障の可能性が高まってくるが……。
「心配なゴッドセレクションのその後ですが、故障の可能性が高まってきました。どうやら、右前肢の爪に異常が発生したとのことです。歩様もおかしく、後日検査することになりました。
ゴッドセレクションを所有する川勝裕之氏と近しい関係者のTwitterアカウントがこの旨を発信しています。杞憂に終わればいいのですが……」(競馬ライター)
今回は故障という仕方のない敗因だが、中井騎手にとっては「またも勝てなかった」という気持ちが強いかもしれない。まだ3歳のゴッドセレクションだけに、次走こそ「何とか重賞を獲らせたい」という主戦騎手の願いが叶うことを祈りたい。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……
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