JRA「ドゥラメンテ×ザルカヴァ」ダノンティアラは川田将雅の想像以上!? 「はるかにしっかり……」凱旋門賞に縁のある超良血馬が見せたライバルとの決定的な違い
3日、中山競馬場で行われた2歳新馬(芝1800m)は、川田将雅騎手の3番人気ダノンティアラ(牝2、美浦・大竹正博厩舎)が優勝。4コーナーで先頭に立つ強気な競馬から2番人気ウインバグースとの叩き合いを制した。
「聞いていたより、はるかに競馬では全体的にしっかり走ってくれました」
レース後、川田騎手がそう振り返った通り、鞍上が想像していた以上に強い競馬でデビュー勝ちを決めたダノンティアラ。
14頭立てで行われた芝の中距離戦。好スタートを決めたサトノブレスが先頭を窺うも内からサクソフォンが主張してハナへ。最初の1ハロンこそ12秒5だったが、1000m通過は1分5秒6という超がつくスローペースで流れた。
だが、後続が追い上げ始めた3コーナー過ぎから急流へと一変する。ペースが一気に上がり、各馬の騎手のアクションが激しくなるもダノンティアラは余力十分。最終コーナーを待たずにバテた逃げ馬をパスすると、直線では早くも先頭へと躍り出る。
内から迫ったウインバグースに並ばれるシーンもあったが、鞍上の川田騎手は終始冷静だった。ライバルを競り落とすと、しっかり3/4馬身の差をつけてゴールした。
「前半は13秒台のラップが続いた超スローペースでしたが、後半は11秒8、11秒2、11秒0と究極の瞬発力勝負。ここまで綺麗にまとめられると、後続が手も足も出なかったのも納得です。
ペースだけを見れば、超スローの前残りのように見えますが、低速から高速へと一瞬でギアチェンジしての快勝は中身が濃いです。勝ち馬の持っているエンジンと、センスのよさが際立つ結果でした」(競馬記者)
また、レースを制したダノンティアラには血統的な魅力も十分だ。デビュー戦を勝利したこの日の夜にはフランスのパリロンシャン競馬場で凱旋門賞(G1)が行われるが、2008年の優勝馬ザルカヴァの近親にあたる。
父のドゥラメンテは凱旋門賞挑戦の夢が叶わないまま現役を引退した悲運の名馬。産駒に自身の夢を託して8月に急逝しているだけに、世界的名牝の血を引くダノンティアラに懸かる期待も大きい。
スローペースにもかかわらず、3着馬は2着から2馬身半も離された。一般的に瞬発力勝負の場合、着差がつきにくいだけにこれは決定的な差ともいえるだろう。
凱旋門賞に縁のある良血馬は、次走でも侮れない存在となりそうだ。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
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