
JRA 安藤勝己氏「これくらいの器」富士S(G2)2番人気敗退ダノンザキッドを酷評!? プラス22キロも「太くなかった」と考える理由とは
23日、11月のマイルCS(G1)を占う前哨戦の富士S(G2)が東京競馬場で行われた。G1馬3頭を含む17頭で争われたレースを制したのは、池添謙一騎手の1番人気ソングライン(牝3歳、美浦・林徹厩舎)だった。
ハナ差で敗れた5月のNHKマイルC(G1)と同じ舞台での重賞初勝利に、池添騎手は「ようやくソングラインと重賞タイトルを取れてホッとしています」と、喜んだ。
一方、ソングラインに次ぐ2番人気に推された同級生の3歳馬ダノンザキッド(牡3歳、栗東・安田隆行厩舎)は4着に敗れた。
1番人気で15着に惨敗した皐月賞(G1)から巻き返しを誓った日本ダービー(G1)は、骨折により回避。今回は約5ヶ月越しのリベンジの機会となったが、残念ながら直線で伸び切れず。
敗因として、レースを見ていた競馬ファンの一部から「太め残りで敗れた」という意見が上がった。今回のダノンザキッドの馬体重は前走からプラス22キロ。成長豊かな3歳馬ということで、夏からの成長分も考えられるが、一般的に20キロ以上の馬体増は「太りすぎ」と捉えることもできる。太っていたがゆえに、イマイチ伸び切れなかったのかもしれない……。
しかし、この見解に異を唱えたのが、元JRAジョッキーの安藤勝己氏だ。安藤氏は自身のTwitterアカウントにて、富士Sの回顧をツイート。そしてダノンザキッドについて「太くなかった」と、指摘している。
「安藤氏は兼ねてからダノンザキッドの馬体や馬体重に注目していました。2走前の弥生賞(G2)では、前走比マイナス4キロながら『ダノンザキッドは馬体が寂しく見えた』という旨のツイートをされています。
また前走の皐月賞では、前走比マイナス10キロだった勝ち馬エフフォーリアは『絞った』と表現したのに対し、前走比マイナス8キロのダノンザキッドは『減ってしまった』と、書かれています。
ダノンザキッドはデビュー2戦目の東京スポーツ杯2歳S(G3)を520キロで勝利しており、516キロでホープフルS(G1)を制覇。その後も馬体が減り続けたため、今回はプラス22キロとなりましたが、今回の526キロは東スポ杯からはプラス6キロ、ホープフルSからプラス10キロと、約1年の成長分を加味すれば決して大きく増えたわけではありません。だから安藤氏は『太くなかった』と、書かれたのでしょう』(競馬記者)
現に安田隆師はレース前に『日刊スポーツ』の取材で「今から思えば春は体調が芳しくなかった。今はすこぶるいい」と、回答している。春先から状態が戻っているからこそ、馬体も回復したと思われる。
そこで気になるのが、安藤氏が考えるダノンザキッドの敗因である。安藤氏は過去にダノンザキッドについて「先行して早め早めに動いて、最後にまたグッとひと伸びするのが、この馬のよさ。瞬発力というより、長くいい脚を使うというタイプ」と、『Web Sportiva』のインタビューで語っている。そのため、瞬発力が問われる東京マイルが単に合わなかっただけだろうか……。
「安藤氏はダノンザキッドについて『ここらくらいの器と見とるけどな』と、単純に力負けであると考えているそうです。
昨年無敗でホープフルSを勝利して最優秀2歳牡馬を受賞し『頭ひとつ抜けた』と評価していましたが、安藤氏の目からはそこからの伸びしろ無しと判断されたのでしょうか」(同)
ただダノンザキッドの川田将雅騎手は今回のレース後「4コーナーで雰囲気を出してくれました。ここから改めて準備をして次に向かえる内容でした」と、前を向いている。次走、準備万端のダノンザキッドが、どんな競馬をしてくれるか期待したい。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……
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