JRA 中日新聞杯(G3)「高配当の使者」はまさかのC.ルメール!? 騎乗馬が 2桁人気想定も「一変」十分なワケ
11日、中京競馬場では芝2000mのハンデ重賞・中日新聞杯(G3)が行われる。
このレースで、2019年のエプソムC(G3)以来、約2年6ヶ月ぶりの勝利を目指すのが、古豪レイエンダ(セン6歳、美浦・藤沢和雄厩舎)だ。
同馬はご存知、17年の日本ダービー(G1)を勝ったレイデオロの全弟。新馬戦を快勝後に骨折し、春のクラシック2冠は未出走に終わったが、復帰すると条件戦を連勝した。
デビューから無傷の3連勝で挑んだセントライト記念(G2)では、クラシック出走馬を差し置いて1番人気の支持を得た。残念ながら2着に敗れてしまうが、兄を彷彿とさせる能力の高さが光った。
しかし一息入れて挑んだチャレンジC(G3)で6着に敗退すると、成績は徐々に低迷。翌年に前述のエプソムCで重賞初勝利を挙げたが、以降は12連敗を喫している。
不振脱却を目指した陣営は、今年4月のダービー卿CT(G3)を15着に大敗後に去勢を決断。去勢手術を施された結果、セン馬へ生まれ変わったレイエンダは、約5ヶ月の充電を経た京成杯AH(G3)で復帰。結果は振るわなかったが、レース内容は悪いものではなかった。
単勝158.2倍の15番人気で出走した同馬は、道中12番手のインを追走。直線では内にもぐり込むと、進路を探しながら上がり2位の33秒8の末脚を繰り出して6着。勝ち馬のカテドラルからは0秒3差で、G1馬のステルヴィオに先着しており、復活を予感させる内容だったといえるだろう。
とはいえ、既に6歳の秋を迎えているように若くはない。今回は昨年の函館記念(G3)以来、久々にC.ルメール騎手とのコンビで出走を予定しているが、既にピークは過ぎたと思われているのか、『netkeiba.com』の想定オッズでは7日の時点で10番人気に留まっている。
ルメール騎手が騎乗予定ながら人気薄。ファンからあまり期待されていないようにも見える人気薄だが、むしろ今回こそ絶好の狙い目となりそうだ。
セン馬となった男馬は去勢するとホルモンバランスが一時的に変化するため、馬体重が大きく減少する。そして再びホルモンバランスが整うまでに、およそ半年の期間を要するといわれている。
昨年のスプリンターズS(G1)で16着だったビアンフェは、同レース後に去勢。約5ヶ月ぶりに出走したオーシャンS(G3)では12キロの馬体減だった。しかし、去勢明け2戦目となった6月の函館スプリントS(G3)はプラス12キロと回復。レースでは見事に逃げ切り勝ちを収めた。
同馬を管理する中竹和也調教師はレース後、「筋肉が乗り替わって、いい筋肉が乗った。これも去勢の効果。精神面のためにしたけど、それもよかった」とのコメントを、『日刊スポーツ』に残している。
レイエンダも前走は馬体を6キロ減らしていた。そして、今回は去勢手術から約半年が経過し、そろそろホルモンバランスも整ってきた頃だと思われる。もしプラス体重で出走してくれば、ビアンフェと同じように筋肉が変化したという可能性も考えられる。
「最近だと、現オープンのトランスナショナルも、去勢手術明け2戦目だった9月のJRAアニバーサリーS(3勝クラス)で1着に激走。12番人気で単勝56.1倍の穴をあけています。
レイエンダも、ビアンフェやトランスナショナルと同じく、今回が去勢明け2戦目となります。前走では復調の兆しも幾らか見えていました。鞍上もルメール騎手ですし、プラス体重で出走してくれば、これまでとは一変する可能性を秘めているかもしれません」(競馬誌ライター)
そもそもレイエンダは当初、先月東京で行われたキャピタルS(L)への出走を予定していた。しかし同レースを回避、鞍上にルメール騎手を確保して中日新聞杯に駒を進めてきたあたりからも、勝負気配の程がうかがえそうだ。
これまでJRA重賞を124勝しているルメール騎手だが、2桁人気での勝利は2回しかない。だが、今回は同騎手を人気薄で狙える絶好の機会が、ついに到来したといえるかもしれない。
(文=冨樫某)
<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。
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