JRA女帝クロノジェネシスか、新世代の覇者エフフォーリアか、それとも⁉ 熾烈な年度代表馬争いのダークホースはマヤノトップガンの後継者?
2021年の中央競馬もいよいよ大詰めを迎え、暮れの大一番有馬記念(G1)もいよいよ来週に迫ってきた。
近年は、実力馬が香港遠征や中山芝2500mというレース適性への懸念から、回避する事も多くなっている。しかし、今年は三冠馬コントレイルこそジャパンC(G1)で引退となり不在だが、古豪から新世代のトップホースまで、多士済々の面々が集まり面白いレースになりそうである。
そして、その有馬記念の結果が大きく影響してきそうなのが、今年の年度代表馬争いだ。
年度代表馬といえば、過去の選出馬を見ても時代を彩る名馬の名がずらりと並び、その年を代表する馬に選ばれることはファン、関係者にとっても喜びはひとしおだろう。
ここ数年を振り返ると、アーモンドアイ(2018・2020)やキタサンブラック(2016・2017)、モーリス(2015)など圧倒的な成績を残して受賞した馬も多い。ただ、今年は女傑アーモンドアイが引退したことで中距離路線は一気に混戦となり、また海外遠征が活発化し活躍の場が増えたことで、その様相はより複雑なものとなった。
有馬記念前の時点での有力候補を見ていくと、今年1年でG1を2勝以上しているのは3頭のみ。まず筆頭に挙がるのは皐月賞、天皇賞・秋を制しG1・2勝を挙げたエフフォーリア(牡3、美浦・鹿戸雄一厩舎)だろう。牡馬クラシック1冠と伝統の中距離G1を、今年大ブレイクした横山武史騎手を背に勝利したことは印象深い。エフフォーリアは有馬記念への出走も予定しており、勝利すれば最有力候補となることが、ほぼ間違いないだろう。
そして、最多のG1・3勝を挙げているのがクイーンエリザベス2世C、ブリーダーズCフィリー&メアターフ、香港Cとすべて海外のG1を制しているラヴズオンリーユー(牝5、栗東・矢作芳人厩舎)だ。米国での歴史的な勝利を挙げ、ブリーダーズCディスタフ(G1)を制したマルシュロレーヌと共に、日本競馬が世界の最高峰でも通用することを示してくれた。
過去にはエルコンドルパサーが国内でのG1勝ちはなく海外の成績のみで選出された例もある。ブリーダーズC勝利という偉業を達成したラヴズオンリーユーにも選出される可能性は十分あるといえるだろう。
もう一頭、グランアレグリアがヴィクトリアM、マイルCSといったG1を勝利しているが、これまで短距離路線で選出されたモーリス、ロードカナロア、タイキシャトルはいずれもG1を3勝以上を挙げており、2勝のグランアレグリアはどうか。
このように、現時点ではエフフォーリアとラヴズオンリーユーが一歩リードしていることは間違いない。その他に、延べ17頭のG1・1勝馬(海外G1を含む)がいるが、3歳以上が出走できる国内G1は残すところ有馬記念のみとなる。つまり、その馬たちが逆転で年度代表馬に選出されるには有馬記念での勝利が必須ということになる。
有馬記念への出走を予定しているG1・1勝馬の中で、最も受賞に近いのは女傑クロノジェネシス(牝5、栗東・斉藤崇史厩舎)だろう。昨年は宝塚記念(G1)、有馬記念の両グランプリを勝利したが、G1を3勝したアーモンドアイに惜しくも敗れている。今年の有馬記念を勝利し、2年連続グランプリ完全制覇の偉業達成となれば、年度代表馬選出が現実味を帯びてくる。
最後にもう一頭、逆転で受賞を狙うダークホースになりそうなのが、今年の菊花賞馬タイトルホルダー(牡3、美浦・栗田徹厩舎)だ。菊花賞(G1)では果敢な逃げから、最後は2着馬に5馬身をつける圧巻の強さを見せており、今回も楽しみな一頭だ。過去にはマヤノトップガンが菊花賞と有馬記念を制してその年の年度代表馬に選出されており、今回のレースで勝利を挙げることが出来ればマヤノトップガン同様、逆転での受賞もあるかもしれない。
エフフォーリア、クロノジェネシスが自力で勝ち取るか。タイトルホルダーが逆転でマヤノトップガンの再来となるか。あるいは果報は寝て待てとラヴズオンリーユーが攫っていくのか。稀に見る混戦に終止符を打つのは一体どの馬か。年末の大一番が楽しみである。
(文=椎名佳祐)
<著者プロフィール>
ディープインパクトの菊花賞を現地観戦し競馬にのめり込む。馬券はアドマイヤジャパン単勝勝負で直線は卒倒した。平日は地方、週末は中央競馬と競馬漬けの日々を送る。
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