
JRA第2の武豊登場はC.ルメール帝国「崩壊」の序章!? 足音を増大させた最後の1勝の重みが一強時代の「終焉」告げるか

2015年からM.デムーロ騎手と共にJRA所属騎手となってから、それまでの勢力図や記録を瞬く間に塗り替えてきたC.ルメール騎手。2017年に外国人騎手として初のリーディングジョッキーを獲得すると、そこから5年連続でトップを維持している。
近年、川田将雅騎手、福永祐一騎手、松山弘平騎手らの追い上げも激しくなったとはいえ、ルメール騎手の首位を脅かすほどの肉薄はなし。現に2021年の騎手リーディングでも1位ルメール騎手の199勝に対し、2位川田騎手は136勝に過ぎず、両者の間には63勝という越えられない壁が存在している。
この勢いが続くようだと、ルメール一強時代はまだまだ安泰に思えるが、199勝に終わった今年、あと1勝で大台に届かなかったことは、大きな意味を持つかもしれない。
年間G1・5勝を挙げたルメール騎手の好調だった秋。優勝したのは、マイルCS(G1)のグランアレグリアのみだったとはいえ、7戦して1勝2着4回、3着1回、着外1回と堅実に馬券圏内を確保していた。
ところが、そこから別人のように成績が急落したのが12月の5戦。いずれも上位人気馬に騎乗しながら全敗し、有馬記念(G1)のクロノジェネシスでも3着に入るのが精一杯だった。

そんなルメール騎手と対照的な好成績を収めたのが、有馬記念をエフフォーリア、締めのホープフルS(G1)をキラーアビリティで制した横山武史騎手である。
調子を落とした影響もあってか199勝に留まったルメール騎手に比して、こちらはデビューからの通算勝利を300勝の大台に乗せることに成功。年間G1勝利数でもルメール騎手と同じく5勝で並んだ。
しかも、これは直接対決でルメール騎手の騎乗した人気馬を負かしてのものだから価値がある。それまでの3勝からわずか3日間で2勝を上乗せするという快挙のオマケまでついてきた。
関東の大ベテランである横山典弘騎手を父に持つ新進気鋭の若手騎手は、わずかデビュー5年目にして、日本を代表する騎手の一人となったといえるだろう。
ではこれが意味するものとは何だろうかと考えたとき、真っ先に思い浮かぶのはリーディング上位騎手との年齢差である。

一時代を築いた武豊騎手は52歳、ルメール騎手も42歳なら福永騎手も45歳と決して若くない。川田騎手が36歳、松山騎手が31歳と続くが、彼らがまだ20代の頃に弱冠23歳の横山武騎手が残したほどのインパクトは残せなかった。
その結果、ルメール騎手の牙城を崩しに成功することなく、いまだ2番手3番手に甘んじている現状に繋がっているともいえる。
勿論、横山武騎手にしても快進撃を支えたエフフォーリアも、同馬の潜在能力に惚れ込んでいたルメール騎手に奪われるのではないかという噂もあった馬だが、結果を出したことでコンビ続行が濃厚。むしろ終盤のG1で返り討ちに遭ったルメール騎手の評価が揺らいだ印象だ。
競馬界の最大勢力であるノーザンファーム系のクラブ馬は、騎手の選択にシビアなことでも知られているが、それはルメール騎手でも例外ではない。外国人騎手ばかり優遇しているように見えても結果が伴ってこそ。日本人騎手だったとしても、彼ら以上に実績を残せば、騎乗馬を任される機会は十分にあるのだ。
そういう意味でも、第2の武豊といえる横山武騎手の登場は、5年続いたルメール帝国崩壊の序章となるのかもしれない。
(文=黒井零)
<著者プロフィール>
1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。
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