
JRA 名門厩舎「復権のカギ」は武豊!? 「16年ぶり」の記録ストップも京都金杯(G3)で同級生が験担ぎ
26日、中山競馬場で開催された有馬記念(G1)は、1番人気の3歳馬エフフォーリアが優勝。グランプリ三連覇中の女王クロノジェネシスとの頂上対決を制し、2021年のJRA賞・年度代表馬の最有力候補に躍り出た。
騎乗した横山武史騎手は、2日後のホープフルS(G1)もキラーアビリティで制したことで、年間G1・5勝を達成。またエフフォーリアを管理する鹿戸雄一調教師も、21年の獲得賞金を11億円の大台に乗せた。ジョッキー、トレーナー共々大躍進の1年となった。
その一方、同レースで14着だったペルシアンナイトを管理する池江泰寿調教師は、ホープフルS(G1)に管理馬を出走させていないため、この時点で年間の重賞未勝利が確定。06年から続いていた連続重賞勝利の記録も15年でストップすることとなった。
実父はディープインパクトやメジロマックイーンを管理した名伯楽・池江泰郎元調教師である同師は、04年に厩舎を開業。同年は4勝に終わったものの、翌々年の朝日杯FS(G1)をドリームジャーニーで勝利してブレイク。08年には年間51勝を挙げて、開業5年目にして初のリーディングトレーナーのタイトルを獲得。名実ともにトップトレーナーの仲間入りを果たした。
11年にはディープインパクト以来となる牡馬クラシック三冠馬のオルフェーヴルを輩出した。同馬とは翌年にフランスの凱旋門賞(G1)にも挑戦。レースでは惜しくもソレミアの2着に敗れたが、調教師としては年間57勝を挙げ、2度目のリーディングトレーナーの座に輝いている。
その後も毎年のようにG1馬を送り出していた池江師だが、17年以降の成績は徐々に右肩下がり。15~17年の3年間で実に30勝した重賞も、18~20年は11勝と3分の1に減り、先述の通り今年はついに未勝利が確定。また調教師リーディングも、05年以来となるトップ10圏外の12位に終わった。
21年は厩舎のエース格であるボッケリーニが未勝利に終わったことや、一昨年の日本ダービー(G1)3着、1月のAJCC(G2)で2着に入ったヴェルトライゼンデが故障で戦線離脱したことも、不振の理由となったかもしれない。

そんな池江厩舎であるが、22年最初の縁起レースの京都金杯(G3)にはハーツクライ産駒のシュリをエントリー。巻き返しを果たすべく、鞍上には武豊騎手が想定されている。
武豊騎手とのコンビは昨年の同レースに出走しており、1番人気に推されるも、直線で伸びを欠いて5着に敗退。今年、波に乗れなかった理由の1つには、年始の縁起レースを人気で落としたということもあったか。
となると来年、厩舎が勢いに乗れるか否かも、まさに武豊騎手の手綱にかかってくるといえるかもしれない。
「21年は重賞未勝利に終わってしまった池江厩舎ですが、来年のクラシック戦線にはディープインパクト産駒の大器トゥデイイズザデイが控えています。
同馬は主戦を務める武豊騎手が、新馬戦を勝った後『今後がますます楽しみ』とコメントしたほどの素質馬。1番人気に支持された京都2歳S(G3)では不利もあって敗れてしまいましたが、年明けには再び武騎手とのコンビで重賞に出走してくることも予想されます。
そういう意味では京都金杯のシュリも含め、厩舎復権のカギを握っているのは、まさに武豊騎手であるといっても過言ではないかもしれませんね」(競馬誌ライター)
先日の朝日杯FSをドウデュースで約2年ぶりのG1勝ちを収め、一足先に復活を果たした武豊騎手。池江師とは同い年で、同じ中学校出身でもある。成績を落とす同級生の復活をアシストできるだろうか。年始から注目したい。
(文=冨樫某)
<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。
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