JRA 藤沢和雄×超大物ラスールVS武豊×藤沢ブランド!? シンザン記念(G3)最後のタイトル狙う名伯楽に立ちはだかる意外な伏兵
9日、中京競馬場の芝1600mを舞台に行われるシンザン記念(G3)は、今年2月に定年を迎える藤沢和雄調教師が送り出す、最後の大物候補ラスールが注目を集めている。
初戦となった10月東京の新馬戦は、直線でインから力強く抜け出して勝利。騎乗したC.ルメール騎手はレース後、「新しいグランアレグリアです」と、その素質を評価した。
また藤沢和師も『日刊スポーツ』の取材に対し、「クリストフ(ルメール)の言うとおりにグランアレグリアのような馬だったら、(2月いっぱいで定年制のため調教師引退だが)やめたくなくなるよね」とコメント。『netkeiba.com』で行われている事前予想からも、レースで1番人気に支持されることが濃厚とみられている。
そんなラスールの前にライバル候補として立ちはだかるのが、デルマグレムリン(牡3歳、栗東・五十嵐忠男厩舎)だ。
12月の前走・未勝利戦は、最後方追走から直線で大外一気を決めて勝利。単勝オッズ142倍の超人気薄だったが、決してフロックというわけでもなさそうだ。
5日に行われた最終追い切りは、栗東坂路で僚馬のテイエムケントオーにクビ差先着。陣営は「動きはよかった。ここで結果が出れば先々が楽しみ」という色気十分のコメントを残している。
なにより注目したいのが、同馬の血統だ。
祖母は1993年のマイルCS(G1)を勝ったシンコウラブリイ。管理する藤沢和師にとってもこれがキャリア初のG1制覇となった。同馬は繁殖入り後も、同厩舎で活躍するトレジャーやロードクロノスなどを輩出。名伯楽となった藤沢和師を語る上で欠かせない馬の1頭となっている。
また父は新種牡馬のディーマジェスティだが、その祖母シンコウエルメスも藤沢和厩舎の管理馬だ。
兄に英国ダービー馬のジェネラスや、重賞2勝のオースミタイクーンを持つ良血馬のシンコウエルメスは、96年に藤沢和厩舎からデビュー。初戦は岡部幸雄元騎手が乗り1番人気に推されたが、惜しくも5着に敗れた。
その後、追い切りの際に骨折を発症。通常なら安楽死の処置が取られてもおかしくないほどの重症だったが、なんとか助けてほしいと獣医師に食い下がったのが藤沢和師である。手術は無事に成功。現役は断たれたが、繁殖入りした初年度にブライアンズタイムとの間に生まれたのが、ディーマジェスティの母となるエルメスティアラだった。
つまりデルマグレムリンは、バリバリの藤沢ブランド馬なのである。
「ラストイヤーに重賞タイトルを狙う藤沢和師の前に、同厩舎ゆかりの血統馬であるデルマグレムリンがライバルとして立ちはだかるのは、何か運命的なものを感じますね。
なお、同馬は祖父ディープインパクト×ミスタープロスペクター系という血統構成で、これは5日の京都金杯(G3)を勝ったザダルと同じです。鞍上も武豊騎手ですし、シンザン記念では人気薄想定ながら面白い存在になるかもしれませんよ」(競馬誌ライター)
藤沢和師の選択次第によっては誕生しなかったかもしれない馬と、師の最後の大物候補との対決。そこには果たして、どんなドラマが待ち受けているのだろうか。ゲートが開かれるまでもうしばし待ちたい。
(文=冨樫某)
<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。
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