
JRA「ルメールより上」ノーザンファーム関係者も大絶賛! 「規制頼み」の日本人騎手相手にC.デムーロが残した大きな爪痕

10日、中山及び中京競馬場のウイナーズサークルにて行われた「2021年度厩舎関係者表彰」。優秀騎手賞を受賞したのは、昨年199勝を挙げてリーディングジョッキーに輝いたC.ルメール騎手だった。
「去年は僕にとって良い年でした。G1を5勝することができて嬉しく思います。そして5年連続でリーディングジョッキーも取ることができて、本当に嬉しいです。今年も競馬を楽しみにしています。競馬関係者とファンに感謝したいです」
そう喜びのコメントを残した帝王は、136勝で2位の川田将雅騎手に66勝もの大差をつける独走。この数字は、リーディング15位だった田辺裕信騎手の勝利数と同じなのだから、ルメール騎手がいかに圧倒的な存在だったかを物語っている。
ただ、そんなルメール騎手でも、この男の存在だけは警戒すべきだろう。

それは、M.デムーロ騎手の弟であるC.デムーロ騎手だ。昨年のジャパンC(G1)が開催された11月28日から騎乗した世界的名手は、短期免許で来日した日本の競馬で「格の違い」を見せ続けた。
今月10日の騎乗を最後に帰国したが、約一カ月半程度の短い期間ながら、積み重ねた勝利は26勝。これは同じ期間から計算するとルメール騎手の22勝をも凌ぐ。
「完全に関西主場の中心にいましたね。連対率も5割近い数字で、どのレースでもクリスチャンを軸にするか、切るかがメインになっていました。基本的に位置を取りに行くスタイルで、4コーナーを回る時は大抵先行集団、もしくはほぼ先頭くらいの感じで非常に安心感がありました。
アクションもダイナミックでいかにも馬を動かしているという印象を与えるので、関係者からの評価も当然ながら高かったです。ノーザンファームしがらきの松本場長は、大のお気に入りで『クリスチャンはクリストフより上手だよ!有力馬は全部彼に任せれば大丈夫』と全幅の信頼を置いていたみたいです」(栗東のTM)
■デムーロ騎手とルメール騎手の成績
C.デムーロ 26.20.8.48/102 勝率25.5%、連対率45.1%、複勝率52.9%
C.ルメール 22.13.5.51/91 勝率24.2%、連対率38.5%、複勝率44.0%
※集計は昨年11月28日 から今年 1月10日までの期間
関西圏のライバルとなる福永祐一騎手が骨折で離脱、川田将雅騎手が香港遠征の隔離期間で乗れなかった期間も含まれているとはいえ、ルメール一強状態に一石を投じるだけの結果といえる。
「ルメール人気」が多少あったとしても、勝率、連対率、複勝率すべてで上回り、単勝回収率、平均人気、平均着順などでもライバルを上回っているのだ。福永騎手や川田騎手が、仮に同じ馬に騎乗したとして、これまでルメール騎手に勝てなかった彼らに同程度の数字が残せたかとなると疑問である。
ただ、大きな爪痕を残した“黒船”がいなくなったことに安堵しているのは、関西のトップジョッキーたちよりも、“被害”に遭いやすい中堅や若手の騎手たちだ。
「なかなかチャンスが回ってこなかったですし、前走で僕が乗って好走した馬なんかも、走ると分かったらクリスチャンに替えられました。そのときは先生からも『オーナーの意向だからごめんな』と言われました。今週からはクリスチャンがいませんし、小倉が始まったらジョッキーも分散するので依頼は結構入っています」と、ホッとしていたのは某若手騎手だ。
「あのクラスの騎手が1人来るだけで勢力図がガラッと変わるからね。そこにR.ムーア騎手やW.ビュイック、C.スミヨンやD.レーンが来たら恐ろしいね。そうなったら主場で乗る事は諦めるよ」
そう話した関東の中堅騎手にとっても他人事ではない。今回、C.デムーロ騎手は関西を主場としていたが、外国人騎手の脅威は彼以外にもまだまだいるからだ。
ある騎手からは「こんなことを言っては不謹慎ですけど、オミクロン株が流行して再び規制が厳しくなってくれれば、我々にとっては助かるんですが……」というような本音も出ていた。
有力馬の鞍上を見る度に「また外国人騎手か」ということは珍しくない昨今だが、優れた技術を持っているからこそ呼ばれている。前走で日本人騎手が敗れた馬にC.デムーロ騎手が騎乗した途端に好走するシーンがよく見られたこともまた現実である。
乗り替わりを嘆くよりも、もっともっと上手くなって、降ろされないだけの信頼を勝ち取るしか打開策はない。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
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