JRAシルバーステート産駒“真打ち”が武豊の「悩みの種」に!? 一時はデビューも危ぶまれた「大物候補」と急転直下のコンビ結成!

昨年の阪神JF(G1)で3着したウォーターナビレラを輩出するなど、初年度から注目を浴びてきた新種牡馬のシルバーステート。先週末まで中央では64頭がデビューし、うち12頭が勝ち上がっている。
3勝を挙げているウォーターナビレラ以外に4頭がすでに2勝目をマーク。産駒の活躍を受けて、種付け料は2021年度の150万円から22年度は600万円へと大幅アップを果たした。
そんなシルバーステート初年度産駒の素質馬が今週末にデビューする。29日、東京6R(芝1600m)の3歳新馬戦に出走するアルゲンテウス(牡3歳、美浦・小島茂之厩舎)だ。
シルクレーシングから総額1600万円という“格安”になったのは、シルバーステートの種付け料がまだ150万円だったことに起因する。そんなアルゲンテウスを送り込むのは、先日の京成杯(G3)をオニャンコポンで制し、目下絶好調の小島厩舎だ。
美浦を担当するある記者はデビュー前から注目していたアルゲンテウスについて、こう語ってくれた。
「これまでシルクレーシングから小島厩舎には、厩舎が管理した秋華賞馬ブラックエンブレムの仔が委託されることが多かったのですが、現3歳のブラックノワール(父キタサンブラック)は栗東の藤原英昭厩舎に委託されました。
そんな中で、シルクから小島厩舎に入厩したのがこのアルゲンテウス。シルバーステートの種牡馬としての能力は未知数でしたが、悪い馬を委託することはしないだろうと当初から注目していました。
実際アルゲンテウスはコンパクトな馬体を大きく見せ、しなやかな動きが目立っていました。2歳春にかけて育成もすこぶる順調で、昨年6月には早くも函館に入厩。7月にはゲート試験にも合格し、8月函館でデビューを予定していました」(競馬記者)
ところが馬房内で脚をぶつけるアクシデントに見舞われるなど一頓挫あり、待望のデビューは延期になってしまう。その後は秋口になっても体調は整わず、強い調教もままならない状態に。一時はデビューすら危ぶむ声も聞かれたという。
「父シルバーステートと同じく、母のラダームブランシェも屈腱炎が原因で引退に追い込まれています。正直、血統的にも脚部不安は仕方ないと思っていましたが、とにかく無理をせず、デビューにさえこぎつけてくれれば……と願っていました」(同)
そんな最悪の状況から一転、明るい光が差したのは昨年末のことだった。
12月下旬になって、ノーザンファーム天栄を経て美浦に入厩。すると、年末から坂路を中心に乗り込み始め、規格外の好時計を連発したのだ。そして1回東京の2週目でのデビューが決まると、来週へ向けての権利獲りという意味合いで1週早い今週末の3歳新馬戦に登録。
そこでまさかの抽選突破を果たし、急転直下でデビューを迎えることになった。
「陣営は来週に向けて調整してきたので、本音としては『権利を獲れれば』という考えだったと思います。それでも『今週(の出走)でも対応できる状態』と強気の発言をしているのは、8分仕上げでも勝負になると思っているからこそ。今後を見据えて1週でも早く勝利を挙げておくことは、春のクラシックに間に合う可能性も高まります」(同)

そして、アルゲンテウスの期待をより高めたのは鞍上の存在だ。木曜日に発表された出馬表に記載されたのは「武豊」の二文字が。
先月の朝日杯FS(G1)をドウデュースで制覇。今年に入ってからはルビーカサブランカで愛知杯(G3)を制するなど存在感を見せている大ベテランも、春のクラシックはドウデュースとのコンビで向かうことはまず間違いない。
それでもアルゲンテウスが調教で見せているような“規格外”の走りをレースで見せれば、武騎手を悩ませる存在になり得るかもしれない。父が果たせなかったクラシック出走へ向けて、まずはお手並み拝見だ。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。
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