JRA「馬体重の変動もない」のに謎の激太り、大本命馬の「裏切りコメント」に被害者大量発生?
8日、佐賀競馬場で行われた交流重賞・第49回佐賀記念(G3)は、藤岡康太騎手の2番人気ケイアイパープル(牡6、栗東・村山明厩舎)が制し重賞初制覇。3コーナー過ぎから先頭に立つ強気な競馬で、2着アメリカンフェイスを5馬身突き放す圧勝だった。
「最後までしっかり脚を使ってくれて、いい内容で勝てたと思います。長くいい脚を使うことができる馬なので、早めに動かして行って自分で押し切る形を選びました」
藤岡康騎手がレース後、そう振り返ったように、ゴール前の独走劇は、ライバルを捻じ伏せたといっていい好内容。オープン2勝を経て重賞の壁も超えたとなると、いよいよ本格化を迎えたのかもしれない。
その一方で、白山大賞典(G3)、浦和記念(G2)を連勝した充実ぶりを評価され、単勝オッズ1.7倍の断然人気に推されていたメイショウカズサ(牡5、栗東・安達昭夫厩舎)は、大本命を裏切る3着。アメリカンフェイスにも交わされ、勝ち馬から8馬身遅れての入線となった。
鞍上には、交流戦で驚異的な勝率を誇る川田将雅騎手、しかもここまでコンビを組んだ3戦は全勝と好相性。ファンの多くが4連勝を期待したのも無理はないだろう。
しかし、トップハンデタイとなる58キロを背負ってはいたものの、近2走で強敵相手に連勝していた勢いが見られなかったことには、それなりの理由もありそうだ。
『スポーツニッポン』が報じた内容によると、レース前に同馬を管理する安達調教師は「能力は高いと思っています。馬体重の変動もないし、いつもと同じ仕上がりです」と、態勢が整っていることを思わせるコメントをしつつも、「ただ、調子が良くても大敗することもあるし、やってみないと分からない面があります」と続けていたように、慎重な見解を述べていた。
少々歯切れの悪い言葉にも感じられたが、パドックでメイショウカズサの馬体重が発表された際、このとき引っ掛かっていた悪い予感が的中する。近5戦で馬体重を減らしながら調子を取り戻していた馬の体重が、前走の469キロから27キロも増えた496キロだったのだ。
勿論、これは同馬にとってのデビュー最高体重。使い減りの傾向を気にしてのことかもしれないが、ここまで急激に増えたなら、中間の追い切りを手控えていたと考えられなくもない。
「何とか馬券の対象となる3着には残れましたが、すでに馬券を購入していたファンが狼狽したのも分かります。馬体重の情報はレース前に発表されるため、逐一チェックをしていれば、事前に把握することも可能ですが、そこまで時間に余裕のなかったファンは、“裏切られた”と感じたかもしれませんね。
何しろ佐賀記念は平日火曜の夕方17時発走のレースです。日中は仕事をしている人も多く、この激太りを知らないまま、レース結果を見て驚いたのではないでしょうか。調教師なら太目が残っていることも、把握していたはずです。にもかかわらず、『馬体重の変動はない』『いつもと同じ仕上がり』というコメントはどうかと……」(競馬記者)
関係者から直接話を聞くことができないファンにとって、メディアが報じる調教師や騎手のコメントは貴重な情報源である一方、鵜呑みにし過ぎるとあとから分かった事実との食い違いに「そんなの聞いてないよ」と驚かされるケースもしばしば。
先週のきさらぎ賞(G3)を4番人気で10着に大敗したエアアネモイにしても、福永祐一騎手がレース後に出した「もともと喉に疾患のある馬」というコメントに、ネットの掲示板やSNSでは、一部のファンから不満が出ていたばかリ。
公営ギャンブルは、金銭が絡んでくるだけに、誠意ある対応を望む声が少なからず出たのも、仕方がなかっただろう。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
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