JRA重賞「100連敗」間近の主戦から頼れる男にスイッチは吉と出る⁉ タイトルホルダー姉の小さなアイドルが狙う長距離女王に名乗り
19日、東京競馬場では芝3400mのハンデ重賞・ダイヤモンドS(G3)が行われる。国内の芝レースでは、ステイヤーズS(G2)の3600mに次ぐ2番目に長い距離ということもあり、例年スタミナ自慢のステイヤー達が集う一戦だ。
今年、紅一点の出走となりそうなのが、メロディーレーン(牝6歳、栗東・森田直行厩舎)である。
300キロ台半ばの馬体が出走毎に話題を呼び、「アイドルホース」扱いされることも多い超小柄な牝馬だが、決して人気だけの馬ではない。3歳時には3000mの菊花賞(G1)で55キロを背負い5着に食い込んだ。他にも、昨年10月にはこちらも3000mのレースで4勝目を挙げた実力の持ち主は、5歳にして念願のOP入りを果たした。
ダイヤモンドSといえば牡馬・セン馬の出走が多いレースでもあり、これまで牝馬の成績は芳しくない。2004年に現在の距離に延長されて以降ここまで牝馬の出走は14回。平均斤量は51.5キロと一見ハンデの恩恵がありそうだが、【0-1-1-12/14】と苦戦を強いられている。
また、04年以降の勝ち馬も、07年を除き全頭が450キロ以上と馬格のある馬が多く、データ的にも買いづらいが、ここへ出走を表明してきたからには勝算があるのだろうか。
昨年、競馬サイト『netkeiba.com』にメロディーレーンの馬主、岡田牧雄氏への興味深いインタビューが掲載されていた。
「前走の古都ステークス(10月31日、阪神芝3000m、3勝クラス)を勝った後に、『次はステイヤーズステークスに行きましょう』と伝えると、森田直行調教師が『とにかく有馬記念は使わせてください』と言うんです。何が何でも有馬記念へ、という彼の熱意に負けちゃいました。」
馬主自身が国内芝最長距離のレースへ出走を示唆したように、メロディーレーンの心肺機能の高さは折り紙付き。「長丁場への適性が高い」旨の厩舎コメントも何度となく発表されている。血統背景についても、母が菊花賞馬タイトルホルダーを輩出したメーヴェ、父が産駒に長距離活躍馬の多いオルフェーヴルとこちらも頼もしい。
さらに、これまでの主戦岩田望来騎手から、同期の菅原明良騎手への乗り替わりは一つ大きなポイントになるかもしれない。共にデビュー4年目となり、リーディングは過去3年常に岩田望騎手が菅原騎手を上回っていた。
しかし、重賞となると話は別だ。
菅原騎手は昨年カラテで重賞初制覇、今年も6番人気のオニャンコポンで重賞2勝目を挙げるなど、ここ一番での勝負強さを見せているが、対照的に岩田望騎手は中央重賞100連敗目前という状況に追い込まれている。
また、菅原騎手は乗り鞍こそそこまで多くないものの、2500m以上の中長距離芝レースの勝率が高い。デビュー以降、2500m以上の芝レースは35戦して勝率17%、単勝回収率も155%と妙味がある。今回の結果次第では、アイドルホースの主戦交代もあり得そうだ。
初めての距離、初めての騎手と初物尽くしとなった今回のメロディーレーン。小さな「最強ステイヤー」の誕生に期待しつつ、まずは無事の完走を祈りたい。
(文=大井ふみ)
<著者プロフィール>
競馬にハマって3、4年。周りの女性陣に布教活動を試みるもうまくいかず、おじさんの競馬仲間だけが増えていく。大井競馬場でビール片手にナイター観戦にいそしんでいたが、最近はそれすら叶わず自宅観戦の日々。
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