JRA【ダイヤモンドS(G3)展望】 3連勝中の“幻の菊花賞馬”が登場! 同世代ヴェローチェオロ、メロディーレーンらが天皇賞・春を見据え激突!
19日(土)、東京競馬場では数少ない3000m超の長距離重賞、ダイヤモンドS(G3)が行われる。ハンデ戦も相まって混戦模様を呈しそうだ。
マラソンレースといえば、アルバートやフェイムゲームなど長距離スペシャリストの活躍が近年目立っていたが、現在はこの路線に断然の主役は不在となっている。今年は明け4歳の2頭が中心となるだろう。
1頭目は3連勝中の上がり馬、テーオーロイヤル(牡4歳、栗東・岡田稲男厩舎)である。
リオンディーズ産駒の同馬が素質の片鱗をうかがわせたのは、昨年5月の青葉賞(G2)だった。未勝利戦を勝ったばかりで、単勝オッズ100倍超の15番人気という伏兵だったが、直線33秒台の鋭い末脚を発揮。勝ち馬のワンダフルタウンから0秒1差の4着に好走した。
夏を休養に充て、10月の中京1勝クラスで復帰。これを順当に勝ち上がると、菊花賞(G1)にも登録があったが、除外の憂き目に遭い出走は叶わなかった。
しかし、菊花賞前日に行われた2勝クラスの一戦で、同世代の逸材マカオンドールを完封。レース後にはSNSなどで「菊花賞で見たかった」「幻の菊花賞馬」といった声がファンから上がった。
秋3戦目となった尼崎S(3勝クラス)では、前走の逃げから一転、好位からの競馬を見せた。道中4番手につけると、上がり最速の末脚を繰り出し楽勝。僅か1か月半の間に破竹の3連勝を飾り、一気にオープン入りを果たした。
その後は放牧を挟み、1月中旬に栗東に帰厩。ここを目標にじっくり乗り込まれている。
テーオーロイヤルにとって課題は未知の距離だろう。これまで経験した最長距離は2400mで、一気に1000mの延長となる。4連勝を飾って、天皇賞・春(G1)の主役候補に名乗りを上げられるか。
テーオーロイヤルが出走できなかった菊花賞で好走したのが、同世代のヴェローチェオロ(牡4歳、栗東・須貝尚介厩舎)だ。
昨年10月に2勝クラスを勝利し、中1週で臨んだ牡馬三冠最終戦は中団後方からの競馬。4コーナーでは14番手の後方に位置していたが、直線で末脚を伸ばして、2着オーソクレースから0秒3差の6着に追い込んだ。
前走は自己条件のグレイトフルS(3勝クラス)に出走。自己最高馬体重を10kgも更新する成長した姿を見せると、1番人気に支持された。前走からは一転、今度は2番手を追走する横綱相撲で、危なげなく1馬身差の快勝を収めた。
4歳馬2頭による一騎打ちの様相を呈しているが、血統的にはヴェローチェオロにやや分があるか。テーオーロイヤルの父リオンディーズは、マイルの朝日杯FS(G1)を勝っているが3000m超は未知数。一方で、ヴェローチェオロの父は、無尽蔵のスタミナを誇ったゴールドシップだ。
今後は父と同じように中長距離重賞での飛躍が期待されるヴェローチェオロ。実際、陣営は来月下旬に開催されるドバイゴールドC(G2、芝3200m)にも登録済みである。まずは国内で重賞Vを決めて、大きいところを狙いたい。
長距離実績ではJRA最少体重勝利記録を持つメロディーレーン(牝6歳、栗東・森田直行厩舎)も負けていない。
3歳時には菊花賞5着、4歳春の阪神大賞典(G2)でも5着と掲示板を確保している。2走前に3勝クラスを勝ち上がると、前走は強豪がそろった有馬記念(G1)に果敢に挑戦。中団後方で脚をためたが、さすがに相手が強すぎたか、16頭立ての15着に敗れた。
鞍上は岩田望来騎手から同期の菅原明良騎手に乗り替わる。テン乗りで新味を引き出すことはできるか。
前走・万葉S(OP)でマカオンドールとアタマ差の2着に好走したレクセランス(牡5歳、栗東・池添学厩舎)にも勝機がある。一時期の不振を乗り越え、横山武史騎手との新コンビが化学反応を生み出せば、約2年ぶりの勝利も夢ではない。
2年前の京都新聞杯(G2)で、ディープボンドの2着という実績があるマンオブスピリット(セ5歳、栗東・斉藤崇史厩舎)。近2走はステイヤーズS(G2)6着、万葉S4着と、マラソンレースで善戦している。去勢明け4戦目で大駆けがあっても驚けないだろう。
他には、昨年のセントライト記念(G2)4着が光るカレンルシェルブル(牡4歳、栗東・安田翔伍厩舎)が3勝クラスからの格上挑戦。また、昨年12月のステイヤーズS4着のトーセンカンビーナ(牡6歳、美浦・加藤征弘厩舎)、同レース5着のゴースト(セ6歳、栗東・橋口慎介厩舎)なども上位をうかがう。
“東京マラソン”と呼ばれることもある過酷な名物重賞を制するのは、果たしてどの馬か。発走は19日の15時45分を予定している。
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