JRA【中山記念(G2)展望】川田将雅「楽しみ」ダノンザキッドVS高橋祥泰「有終の美」カラテ! 藤沢和雄「最後の3頭出し」にも注目
27日、中山競馬場では第96回中山記念(G2)が行われる。例年、G1さながらのメンバーがそろうことも珍しくない一戦だが、今年はどんなメンバー構成となるのか。実績馬を中心に展望していこう。
今年、参戦を予定している唯一のG1ウイナーがダノンザキッド(牡4歳、栗東・安田隆行厩舎)だ。
デビュー3連勝でホープフルS(G1)を制覇したときは牡馬クラシック最有力と目されたが、弥生賞(G2)で初黒星を喫すると、皐月賞(G1)で15着に大敗。そして日本ダービー(G1)を前に骨折が判明し、不本意な春を過ごした。
秋は富士S(G2)で戦列に復帰し、骨折明けとしては上々の4着。続くマイルCS(G1)は、中団追走からグランアレグリアとシュネルマイスターに次ぐ上がり3位の末脚を披露し、見せ場たっぷりの3着に食い込んだ。今のところ、マイル路線への転向は吉に出ているといえるだろう。
そして陣営が今年の始動戦に選んだのは1800m戦。距離を短縮して復調の兆しを見せていたが、今回は1ハロン延長して約1年2か月ぶりの勝利を狙う。
鞍上はデビュー2戦目から手綱を取る川田将雅騎手が務める。前走後には、「来年(22年)が楽しみになった」との発言もあったというが、G1・2勝目に向けて、ここで簡単に負けるわけにはいかないだろう。
対抗筆頭は昨年の東京新聞杯(G3)の覇者カラテ(牡6歳、美浦・高橋祥泰厩舎)だ。
同レース連覇を狙った前走は、スタート直後に他馬と接触する不利に見舞われ、後方からの競馬を強いられた。直線を向いてから前が詰まるシーンもあり、ワンテンポ遅れての追い出しとなったが、前が開いてからはしっかり末脚を伸ばした。結局、イルーシヴパンサーと0秒4差の3着に入ったが、2度の不利がなければ際どい争いに持ち込んでいたか。
今回は中山へのコース替わりとなるが、2走前のニューイヤーS(L)を58kgの斤量で快勝するなど通算3勝している。カラテにとっては、むしろプラスになる可能性もあるだろう。
問題は1ハロン延びる1800mという距離だ。本格化した20年夏以降は11戦連続でマイルだけを使われてきた。久々となる1800mがどう出るかだが、3歳時に2000mの未勝利戦を勝っており、大きなマイナスにはならなさそう。
今月で定年引退となる高橋祥泰調教師にとって、最後の重賞挑戦。G1馬を撃破して有終の美を飾れるか。
昨年の若葉S(L)を制し、皐月賞でも4着に好走したアドマイヤハダル(牡4歳、栗東・大久保龍志厩舎)が復活を期す。
ダービーでは早めに仕掛けるも17着に大敗した。ただし、ロードカナロア産駒の同馬にとって、さすがに2400mの距離は長すぎたか。
その後は半年以上の休養を挟み、昨年12月のディセンバーS(L)で戦列に復帰し5着。続く白富士S(L)は2着と徐々に調子を取り戻しつつある。
鞍上は休養明けからコンビを組む横山武史騎手が継続して騎乗する。夏から秋にかけて成長を促した効果がそろそろ出てもいい頃だろう。
昨秋の福島記念(G3)を逃げ切ったパンサラッサ(牡5歳、栗東・矢作芳人厩舎)も怖い存在だ。
前走の有馬記念(G1)でも果敢にハナを切ったものの、2走前のような大逃げとはならず13着に沈んだ。過去10年で逃げた馬は勝利こそないが「0-1-3-6」で、複勝率40%と上々の成績。昨年は出遅れて中団からの競馬になった悔しさをここで晴らしたい。
昨年の3着馬ウインイクシード(牡8歳、美浦・鈴木伸尋厩舎)は、先行力を武器とする中山巧者。18-19年にウインブライトで連覇した松岡正海騎手が大仕事をやってのけるか。
このレースが定年前の最後の重賞となる藤沢和雄調教師は3頭を送り込む。
1頭目が5勝中4勝を中山で挙げ、そのうち3勝が重賞勝利というコントラチェック(牝6歳)。前走の福島記念はさすがに距離が長すぎたか。前走から1ハロン短縮で一発を狙う。
2頭目は青葉賞(G2)勝利の実績があるゴーフォザサミット(セ7歳)。4年近く、馬券圏内に食い込むことができていないが、昨年の当レースでは小差の4着に入り、見せ場を作っている。
そして、3頭目がオープン昇級後は苦戦が続くレッドサイオン(セ6歳)。これが休み明け2戦目で、2勝している中山なら一変があっても。
最後の重賞で3頭出しを敢行する藤沢和師、そして有力候補のカラテを送り込む高橋祥師。どちらかが有終の美を飾ることができるか。
大阪杯(G1)、そして安田記念(G1)へと繋がる重要な一戦を制するのはどの馬か。発走は27日15時45分を予定している。
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