JRA川田将雅「次なる野望」はケンタッキーダービー(G1)制覇!? 武豊が残した足跡は、日本競馬の金字塔へ繋がるか
「本当にうれしいです。興奮して覚えてはいませんが、ゴール板を通過した後は思わず拳を握ってしまったかもしれません」
そう語ったのは、昨年ラヴズオンリーユーで日本馬初となるブリーダーズカップ制覇の偉業を成し遂げた川田将雅騎手だ。普段はクールな男だが、興奮するのも無理はない。幼い頃からの夢でもあった念願の海外G1初制覇、それも米国競馬の祭典ブリーダーズCである。日本競馬に新たな歴史を刻んだと同時に、自身にとっても生涯忘れられない勝利だったに違いない。
しかし、近年意欲的に海外G1へ挑戦する同騎手の“野望”は、これで終わりのはずがない。
昨年開設した自身の公式インスタグラムも「海外への広い認知」を理由のひとつとしており、飽くなき冒険心に余念はない。今年も虎視眈々と世界制覇のチャンスをうかがっていることだろう。
20日、東京競馬場で行われるヒヤシンスS(L)は、米国三冠レースの1つケンタッキーダービー(G1)への出走馬選定レースでもある。現3歳ダート路線を占う重要な一戦であり、川田騎手はコンバスチョン(牡3、美浦・伊藤圭三厩舎)との初コンビで出走を予定している。
同馬は、新馬戦を2着に4馬身差の圧勝、続く1勝クラスも勝ってデビュー2連勝を飾った素質馬。2走前の兵庫ジュニアグランプリ(G2)と前走の全日本2歳優駿(G1)で連続して2着に敗れるが、世代トップクラスの力は証明済みだ。
陣営は、今回の結果次第で3月のドバイワールドカップデーにメイダン競馬場で行われるUAEダービー(G2)を視野に入れているようだ。同馬の父であるディスクリートキャットは06年の同レースの覇者であり、父子制覇の期待もかかる。
無論、その結果次第ではケンタッキーダービーを始めとする米国三冠へ転戦しても不思議ではない。
「近年、この時期になると有力な3歳ダート馬は、日本に大きなレースがないことからも海外遠征を考えるのが通例となってきています。早くから才能を開花させ、結果も出してきているコンバスチョンにとっても、早期の海外遠征は何ら不思議ない話です。
しかし、前走でこの馬に騎乗して結果を出した松山弘平騎手から、今回は川田騎手に乗り替わるというのは少し違和感がありました。川田騎手が代打とは思えないですし、UAEダービーを見据えた交代のようにも感じます。海外G1で松山騎手よりも経験豊富な川田騎手にとっては、可能であれば最大目標前に感触を掴んでおきたいはずですしね」(競馬誌ライター)
16年には、武豊騎手とラニがこのヒヤシンスSをステップに、日本調教馬として初めてUAEダービーを勝利。その後、ケンタッキーダービーをはじめとする米国三冠レース全てに出走し、最後の一冠であるベルモントS(G1)で3着に好走したことで、日本馬にとって貴重な足跡を残した。
「米国三冠レースは、約1カ月半の間でG1を3戦するのですから、日本では考えられないほど過酷です。無理がたたって怪我をしたり、生涯を棒にふるう可能性すらあります。そんななかでの武騎手とラニの挑戦は、日本馬にとっての大きな道標となりました。
昨年米国のブリーダーズカップを制した川田騎手ですから当然、そちらの方向も意識していると思いますよ」(同)
いまだかつて日本馬が辿り着いていないケンタッキーダービー制覇。世界の「KAWADA」が、日本の新しい金字塔をまたひとつ打ち立てる日は、そう遠くはないかもしれない。
(文=ハイキック熊田)
<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?
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