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JRA川田将雅「不安的中」にファンは大感謝!? ダノンスコーピオン共同通信杯(G3)“使い捨て”でも陣営が「確認」したかったものとは

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ダノンスコーピオン 撮影:Ruriko.I

 13日、東京競馬場で開催された共同通信杯(G3)は、松山弘平騎手の3番人気ダノンベルーガが、直線で1番人気ジオグリフに1馬身1/2差をつける完勝。昨年はエフフォーリアが制した重要なステップレースを制し、新たなクラシック候補として名乗りを上げた。

 その一方、川田将雅騎手の4番人気ダノンスコーピオン(牡3、栗東・安田隆行厩舎)は、直線で伸びを欠いて7着に敗れた。

 昨年の朝日杯FS(G1)では、5着ジオグリフに先着する3着。その前の萩S(L)で破った相手キラーアビリティは、暮れのホープフルS(G1)を優勝した実力馬でもある。

『netkeiba.com』が公開している単勝予想オッズでも、中間では1倍台の1番人気にすらなったほどの実績の持ち主が、ここまで人気を下げたのには、それだけの理由があった。

「動きとすると、間に合っていない。モタれ方がきつい。いい頃の動きがまだできていない状況です」

 これは、最終追い切りを終えた際に出した川田騎手のコメントだ。

 実際、9日に栗東CWで行われた併せ馬で、パートナーを2馬身ほど追い掛けたダノンスコーピオンだったが、好調時に比べて精彩を欠く動き。4コーナーでインに潜り込んだものの、直線で相手を突き放すどころか、鞍上がモタれを矯正するのに四苦八苦。馬なりの相手に1馬身遅れてしまった。

 上位人気必至の馬の不調は各紙で報じられ、それを目にしたファンも「ダノンスコーピオン不安説」に色めきだった。

 そして、川田騎手の“予言”通りに、本調子とは思えないほどの凡走。少々ドライなメディア対応をする騎手だが、馬については常に真摯なコメントを出すことで知られるだけに、結果的に悪い予感が大的中してしまった格好だ。

 しかし、少々腑に落ちないのは、馬の状態を見ながらローテーションを決めるやり方が主流の中、ダノンスコーピオン陣営はなぜ万全とは言えない状態だったにもかかわらず、共同通信杯に出走させたのだろうか。

「出走してくるからには勝ち負けできる状態でという大前提はありますが、ダノンスコーピオンについては、賞金も足りている状況でした。安田隆先生も『先々を見据えての東京1800』と説明していただけに、今回に限っては、状態云々よりも関東への輸送と東京コースの経験を優先した可能性が高そうです。

それにダノックスは、もう1頭の期待馬であるベルーガとの2頭出し。スコーピオンが本調子になくても、オーナーとしてはベルーガの賞金を確保できて結果オーライです。松山弘平騎手は、川田騎手が香港遠征の影響で乗れなかった朝日杯FSでスコーピオンの代打を任されたように、陣営からの評価も高い騎手です。

また、堀先生も厩舎の看板馬であるサリオスやヒシイグアスに乗せており、石橋脩騎手から替えてきたということは、こちらが勝負気配だったということでしょう」(競馬記者)

 ダノンベルーガはこの勝利で一気にクラシック候補の一角へ、ダノンスコーピオンにしても、輸送と東京コースを経験したことは大きい。終わってみれば、2頭ともしっかりとプラス材料があった。

 ただ、少し気になったのは、レース後に川田騎手が残した「現状精一杯の走りですね。やはり1800mは長かったです」というコメントだ。同距離の萩Sを勝利しているとはいえ、デビュー戦からマイルを使われていたように、陣営はマイラーと考えている可能性が高そう。

 となると、見方によっては“使い捨て”にも映る今回の共同通信杯出走だが、ダノンスコーピオン陣営は、日本ダービー(G1)よりもNHKマイルC(G1)を見据えていたのかもしれない。

(文=高城陽)

<著者プロフィール>
 大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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