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JRA「密かに応援させていただきます」武豊もお世話になった今週末で引退の名物トレーナー。競馬専門紙の記者でさえ“騙される”「変則」調教とは

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撮影:Ruriko.I

 今週末の28日をもって、JRAから7名の調教師が定年のため引退する。それに伴い各スポーツ紙などのメディアは引退する調教師の思い出話やインタビュー記事などを続々と掲載し、今週の競馬界は惜別ムードに包まれている。

 その中でも特に取り上げられることが多いのが、美浦の藤沢和雄調教師だろう。同師は歴代2位のJRA通算1568勝を挙げている日本競馬史に残る名伯楽として知られ、1988年の開業以降、14回の全国リーディングをはじめG1・34勝など数々の実績を残した。

 そして、関東の名伯楽は個性派トレーナーの一面も持つ。「一勝より一生」をモットーに馬を大事にする藤沢和師は管理馬を大事にすることで有名だ。「馬なり主体」「速い時計を出さない」といった調教の特徴をはじめ、出走間隔が比較的長いことも一部ファンの間で定着している。

 だが、今回引退される調教師には藤沢和師以外にも個性派のトレーナーが多数いる。中でも栗東の浅見秀一師は他の厩舎では、あまり行っていない調教を取り入れていることで有名だ。

 浅見師は武豊騎手が「子供の頃から公私に渡ってお世話になった大恩人」と、話す故浅見国一調教師の息子。その繋がりからか同騎手は自身のオフィシャルサイトにて、同師を引退される調教師の中で「最も関係が深かった」と記している。

 気になる浅見厩舎流の調教だが、「日曜追い」が主流となっている。

 日曜追いとは、その名の通り日曜日に強めの追い切りを行うことだ。一般的な厩舎は出走予定の当週または1週前の水曜日、木曜日に、本追い切りを行うことが多い。そのため、日曜日に追い切りを行う浅見厩舎は他厩舎とは調教パターンが異なっており、今まで多くの人々を悩ませた。

「基本的に競馬の追い切り情報は水曜日、木曜日に行ったものをベースに報道しますからね。水曜日はサラっとした軽めの追い切りが多い浅見厩舎は、どうしても馬が仕上がってないのかなと考えてしまいがちです。

スポーツ紙や専門紙によっては日曜日の追い切りは省略されるものもありますから、予想で参考にする媒体によっては浅見厩舎の馬は本当に馬券対象として扱いにくいです。新聞などに掲載されている浅見厩舎の軽い追い切りに“騙された”ファンも少なくないのではないでしょうか」(競馬誌ライター)

 浅見厩舎の変則的な調教パターンは競馬記者でも戸惑うことがあるそうだ。

 某競馬専門紙に務めていた鈴木ショータ氏は自身のTwitterで「浅見厩舎は日曜追い切りだからトラックマンですら見逃しやすいから盲点」と、ツイートしていたことから如何に他の厩舎と一線を画しているかが分かる。その上でメジロブライトをはじめ、サングレーザー、レインボーラインなどを育て上げてきたのだから、まさに個性派の名伯楽といえるだろう。

 24日の栗東坂路では、土曜日に出走予定の管理馬の追い切りに跨る浅見師の姿が確認された。御年70歳とは思えない精力的な活動っぷりで定年がもったいない同師だが、ラストウィークに自己流の調教で鍛え上げられた管理馬が勝利を挙げられるか期待したい。

(文=坂井豊吉)

<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……

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