JRA川田将雅の「相馬眼」が見極めのポイント!? 素っ気ないコメントと真逆のベタ惚れ、「良血馬」を捨ててまで選んだマテンロウ軍団3本目の矢
23日の水曜、栗東トレセンでは坂路とCウッドを中心にのべ1000頭以上が追い切りを行った。
Cウッドコースでこの日、最も鋭い動きを見せた1頭がドウデュースだ。無傷の3連勝で朝日杯FS(G1)を制した今年のクラシック有力候補は、来週末に行われる弥生賞(G2)に向けて、6ハロン79秒0-ラスト11秒3をマークした。
そのドウデュースと併せたのは僚馬で、同じくクラシックを視界に入れるセレシオン(牡3歳、栗東・友道康夫厩舎)。古馬オープンクラスのジュンライトボルトを含めた3頭併せで、ドウデュースには1馬身遅れたが、6ハロン79秒6の好時計。登録がある26日のすみれS(L)に向けて態勢は整ったとみていいだろう。
粗削りな内容ながら、ここまで2戦2勝のセレシオン。半姉に桜花賞(G1)2着のクルミナルがいる良血馬は、新たに和田竜二騎手を鞍上に迎えて、無傷の3連勝を目指す。
その一方、デビューから2戦連続で鞍上を務めていた川田将雅騎手が、いずれもレース後に辛口コメントを残していたのもこの馬である。
新馬戦勝利後は、「道中進んで行けず、上にしか跳べない現状ですが、体が良くなれば前に跳んでいけるようになります。成長待ちですね」。そして、前走の梅花賞(3歳1勝クラス)後にも「初戦以上に性格の難しいところが出て、途中からずっと内に刺さりながら走り、ゴールすると外に行くような形でした。そうしたところが大人になってくれればと思います」と、褒めるよりも注文の多い素っ気ないコメントだった。
「確かに川田騎手の言葉は手厳しいものでしたが、それはセレシオンに対する期待の裏返しだと思います。友道調教師もすみれS勝利を条件にクラシックを見据えているようです。粗削りですが、負けていないですからね。いずれ大きいところを狙える素質を持っていることは間違いないと思います。
ただし、今回は主戦から振られる形になりました。川田騎手が騎乗するのはライバルの1頭と目されるマテンロウボンドです。まだ新馬戦を勝っただけの馬ですが、2戦2勝のセレシオンを捨ててまで選んだなら、かなりの人気を集めるかもしれませんね」(競馬誌ライター)
マテンロウボンドは、その冠名からも分かるとおり、寺田千代乃オーナーの所有馬。今年の3歳牡馬勢は大活躍中で、マテンロウオリオンがシンザン記念(G3)、マテンロウレオがきさらぎ賞(G3)を制している。
「オリオンの方はニュージーランドT(G2)からNHKマイルC(G1)が既定路線のようです。一方、レオの次走は弥生賞に決まっています。その後は皐月賞(G1)、ダービーへと進むのではないでしょうか。“3本目の矢”ともいえるマテンロウボンドはローテーション的にもダービー狙いでしょうか。
マテンロウボンドのデビュー戦は2000m戦でしたし、兄弟は芝・ダート問わず中長距離で結果を残していますから、距離は延びた方がいいでしょう。ここ(すみれS)を勝てば、一戦挟んでダービーが大目標になるとみています」(同)
そんなマテンロウボンドの新馬戦勝利後に川田騎手が残したコメントだが、セレシオンとは正反対といえる内容だった。
「返し馬からとても良い馬だということは分かりましたし、ちゃんと勉強できる競馬をしたいと思い、その通りの競馬をしてくれました。先々が楽しみな馬です」
2戦続けて厳しい言葉を送ったセレシオンとは対照的に、こちらは川田騎手も認める“優等生”といったところだろうか。
23日の最終追い切りではCウッドコースで6ハロン85秒8と全体時計こそ掛かったが、ラスト1ハロンはこの日の最速タイとなる11秒1という切れ味を披露した。
年明けデビュー馬で2戦目にすみれSを制した馬といえば、フサイチコンコルドが真っ先に思い浮かぶ。マテンロウボンドも2連勝を飾って大舞台へと向かえるか。川田騎手が放つ“マテンロウ3本目の矢”は狙い通りの場所(ダービー)を射抜くことができるだろうか。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。
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