JRA金鯱賞(G2)「逃げない」ジャックドールに賛否の声!? 陣営「どこかで変えなきゃ」進化追求も、気になる無敗6連勝でG1制覇したあの馬の二の舞
13日に中京競馬場で行われる金鯱賞(G2)。2017年に大阪杯がG1昇格を果たして以降、前哨戦として年々重要度が高まっているレースだが、今年も好メンバーが顔をそろえた印象だ。
中でも、競馬ファンから最も熱い視線を集めているのが、4連勝中のジャックドール(牡4歳、栗東・藤岡健一厩舎)ではないだろうか。
前走の白富士S(L)でアドマイヤハダル、グラティアス、ディープモンスターといった昨年のクラシックを賑わせた同世代を蹴散らしたジャックドール。「遅れてきた大物」として一気に注目度が高まり『netkeiba.com』の事前予想では、レイパパレらG1馬を差し置いて1番人気に予想されている。
今回が重賞初挑戦となるが、逆に言えば、ここで結果を出さなければ大阪杯出走が厳しいものになる。先週のチューリップ賞(G2)も弥生賞(G2)も、賞金的に「結果」が必要だったナミュールとアスクビクターモアが“答え”を出した。新星ジャックドールも5連勝でエフフォーリアらが待つ大阪杯出走が期待されているというわけだ。
だが、その一方で本馬を管理する藤岡調教師の「どこかで脚質は少し変えなきゃいけないとも考えています」という発言は気になるところだ。
■藤岡調教師「ここから先、このまま逃げ切りで勝つのは難しい」
『netkeiba.com』で連載中の『今週のFace』に登場した藤岡調教師。詳細はぜひ本インタビューをご覧いただきたいが、話題の中心はやはり今週の金鯱賞へ出走する「遅れてきた大物」だった。
近3走を、すべて逃げ切りで3連勝を飾っているジャックドール。特に前走の白富士Sで記録した1:57.4は現条件で行われるようになった2000年以降で最速。同舞台で開催され、昨年はエフフォーリアが勝利した天皇賞・秋(G1)でさえ1:57.9だったのだから、その逃げが織りなすスピードは、すでにG1を意識できるものだ。
だが、藤岡調教師は「ここから先、重賞や大きいレースになるほど、このまま逃げ切りで勝つのは難しい」とジャックドールに脚質転換も含めて、さらなる進化を求めている。
無論、過去に桜花賞(G1)や高松宮記念(G1)を制し、JRAでも通算542勝(7日現在)を挙げる一流調教師の方針だけに、大目標のG1を勝利するためには今後ジャックドールがさらなる進化を遂げる必要があるのだろう。
しかしその反面、競馬に限らず、すでに一定の成果が出ているものに変更を加えることには、当然ながらリスクも付き纏う。
■無敗の6連勝でG1馬に輝いたレイパパレだったが……
「記憶に新しいのは、昨年の大阪杯でコントレイルやグランアレグリアらを相手に逃げ切ったレイパパレではないでしょうか。
デビューから負けなしの6連勝でG1馬に輝いた本馬ですが、大阪杯や大原S(3勝クラス)ではスタートで後手を踏みながらもハナに立つ、スピードのある逃げが身上の馬でした。
しかし、陣営や主戦の川田将雅騎手の方針もあって、大阪杯後はハナに拘らないスタイルにチェンジ。それだけが原因ではないと思いますが、結果的にはそこから4連敗……。前走の香港C(G1)では、ついに中団から競馬して惨敗しています。一部のファンからは『何故、逃げないのか』といった声もチラホラ聞こえていますね」(競馬記者)
無論、陣営としては今後を見据えたスタイルチェンジであることは述べるまでもない。しかし、必ずしもそれが好結果に繋がるわけではないところが競馬の難しいところだ。
スタイルチェンジを目指すジャックドールが挑む金鯱賞に、記者が挙げたレイパパレが最大のライバルとして立ちふさがるのも何かの因縁か。果たして、ジャックドールは逃げるのか、それともレイパパレが前を行くのか。
先日の中山記念(G2)を大逃げで快勝したパンサラッサが、大阪杯ではなくドバイターフ(G1)を選択したことで、逃げ馬にはさらに大きなチャンスが広がった印象だ。
「進化」と「復活」、いずれも大レースを勝つには欠かせない要素である。
(文=銀シャリ松岡)
<著者プロフィール>
天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。
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