JRA 中山牝馬S(G3)エアグルーヴ一族の超良血馬が「伏兵扱い」!? 初の重賞挑戦、勝負の鍵は気温と枠順にアリ
12日、中山競馬場では中山牝馬ステークス(G3)が行われる。5月のヴィクトリアマイル(G1)の前哨戦に位置付けられる1戦であり、今年も昨年に続いて16頭のメンバーが集まった。
中山牝馬Sは牝馬限定のハンデ戦という性質から、人気馬での順当決着となることは珍しい。2桁人気の穴馬が馬券に絡むことも往々にしてあり、予想するとなると非常に難解なレースである。
チューリップ賞(G2)ナミュール匹敵の「衝撃デビュー」にファン騒然……
そんな「荒れ模様」の中山牝馬Sは、実績で劣る馬にとっては賞金加算の大チャンスだろう。ここでの好走をステップに今後の重賞戦線へ挑むべく、今年も伏兵馬が虎視眈々と勝機を狙っている。中でも特に注目なのがゴルトベルク(牝5歳、美浦・手塚貴久厩舎)だ。
本馬は父キングカメハメハ、母父ディープインパクト、さらに祖母には名牝エアグルーヴを持つ超良血馬。近親にあたるドゥラメンテとは7/8が同血であり、違いは母の父がサンデーサイレンスかディープインパクトである。最近では1つ下の全妹アンドヴァラナウトが昨年のローズS(G2)を勝利し、秋華賞(G1)でも3着に好走するなど活躍している。
これだけの良血馬とあってデビュー前から期待と注目を集めていたが、デビュー後は順風満帆とはいかず。新馬戦で2着に敗れると、その後に故障が判明し半年間の休養を余儀なくされる。2戦目の未勝利戦を勝利したものの7月であり、時期としてはギリギリの勝ち上がりであった。
未勝利突破後は2~3か月に1度のペースで大事に使われながら、順調に勝ち上がっている。条件戦では8戦4勝で、馬券内を外したのは1度のみと安定した成績を残して昨年9月にOP昇格を果たした。
満を持してのOP初戦となった前走のディセンバーS(L)は、3番人気に支持されるも9着と期待を裏切る結果に。管理する手塚師はレース後に「冬場は代謝が悪くて、汗をかく時期の方が良い」とコメントを残している。実は条件戦で唯一3着以内を外したのも、前走同様12月のレースであった。
■下馬評は低いが侮れない理由
この敗戦が影響してか、『netkeiba.com』の単勝予想オッズでは伏兵評価の14番人気。今回は気温も上がり始めた時期であり、それに伴って調子も上がっていれば、巻き返しは十分あり得る。
また、条件戦での4勝は全て1800mで挙げており、3勝クラスを制したコースは中山芝1800mだ。中山牝馬Sの舞台への適性は示している。
ゴルトベルクが力を発揮できるか否か考えるにあたって、枠順には特に注目したいところだ。本馬の過去のレースで、1~4枠の内枠に入った際の成績は(4-2-0-0)。それに対して5~8枠の外枠に入った際は(1-0-1-2)。外枠で極端に割り引く必要はないが、内枠に入った場合は特に注意が必要だろう。決してキレる脚が使えるタイプではないため、スムーズに先行できるか否かが好走のカギになる。
巻き返しを期す超良血馬が、高配当の使者となるのか。ゴルトベルクの激走に期待したい。
(文=エビせんべい佐藤)
<著者プロフィール>
98年生まれの現役大学院生。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。幸か不幸か、進学先の近くに競馬場があり、勉強そっちのけで競馬に没頭。当然のごとく留年した。現在は心を入れ替え、勉強も競馬も全力投球。いつの日か馬を買うのが夢。
PICK UP
Ranking
11:30更新- 阪神JFで「好走必至」の穴馬が不可解な乗り替わり…「5馬身違う」最強助っ人とC.ルメールの対決も熱い
- ドゥラメンテ近親の「元クラシック候補」が反撃の狼煙!ダートのレコードホルダーが芝重賞に再挑戦
- 【阪神JF】リバティアイランド、アスコリピチェーノ、ソダシを超える逸材!? 2歳女王決定戦で買うべき“大物馬主”推奨の2頭
- 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
- 藤田伸二「酷いレース」のマリーンCにブチ切れ?「何を学んできたのか不思議だわ!」田口貫太に不満爆発
- 武豊「来年が楽しみ」ヤマニンウルス不在でも大健闘…フォーエバーヤング擁する世代レベルの高さも証明
- 「体重超過」大江原比呂が1日でダイエット成功!岩田望来や西村淳也も悩んだ過酷な体重管理
- 【菊花賞】武豊「絶縁」から和解した救世主と見学回避!ルメールのお下がりでも戸崎圭太より不気味?
- 今村聖奈も「300鞍」争奪戦に参加!? 岩田望来&田口貫太「フランス武者修行」で絶好機迎える“5人の騎手”とは
- ミホノブルボンvsライスシャワー連想させた「100分の1」の攻防!同一馬によるワンツースリーは平地競走史上初
関連記事
JRA【中山牝馬S(G3)展望】M.デムーロVS武豊! 前走“軽ハンデ”で重賞勝利の2頭が急遽「乗り替わり」テルツェットに挑む
JRA横山武史「心の底から喜べない」痛恨の“油断騎乗疑惑”から2ヶ月半……豪華ラインナップ控える春G1開幕前に臨む「禊の一戦」
JRAチューリップ賞(G2)ナミュール匹敵の「衝撃デビュー」にファン騒然……遅過ぎた「幻の桜花賞馬」サンクフィーユは絶対に覚えておきたい1頭
JRA 2度も「強奪」被害にあった騎手がリベンジマッチ!? パートナーはかつてC.ルメールも認めたコントレイル世代の「素質馬」
JRA「ポスト藤沢和雄厩舎」は蛯名正義以外にも存在!? 密かに注目を集めている「次世代トップステーブル」候補はブエナビスタを破った世紀の大波乱の立役者