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JRA横山武史「心の底から喜べない」痛恨の“油断騎乗疑惑”から2ヶ月半……豪華ラインナップ控える春G1開幕前に臨む「禊の一戦」

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横山武史騎手 撮影:Ruriko.I

 先週5日のチューリップ賞(G2)をナミュールで制した横山武史騎手。今春のG1戦線では有力馬が、多数スタンバイしていることで何かと話題になっている。

 27日の高松宮記念(G1)では、2019年の2歳女王レシステンシアとの初コンビが決定。翌週の大阪杯(G1)には、昨年の年度代表馬エフフォーリアが控えている。また、桜花賞(G1)はナミュール、皐月賞(G1)はキラーアビリティでそれぞれ挑むことが有力だ。

 春G1の主役は「4戦連続1番人気」濃厚のあのジョッキー

 一見すると万事順調であるように思える横山武騎手。だが昨年12月に“ひとつやらかしてしまった”ことはまだ記憶に新しい。

 よもやのアクシデントが発生したのは有馬記念(G1)前日の25日、中山競馬場の5Rでのこと。

 芝1800mで行われた2歳新馬戦。横山武騎手は1番人気のヴァンガーズハート(牡3歳、美浦・鹿戸雄一厩舎)に騎乗。同馬はエフフォーリアの弟ということもあり、単勝オッズ1.7倍という断トツの支持を集めていた。

 レースは道中5番手を追走する盤石のレース運び。手応え十分に4コーナーを回ると、直線半ばでは早くも先頭に立った。早々と勝利を確信したのか後ろを振り返る余裕も見せ、ゴール前では手綱を緩めたが、そこへ内からルージュエヴァイユが強襲。最後は首の上げ下げの勝負となり、写真判定の結果2着に敗れてしまった。

 レース後、JRAは横山武騎手の手綱を緩める動作を「決勝線手前で数完歩追う動作を緩めて2着になった」と判定。これが、いわゆる“油断騎乗”となり、開催2日間の騎乗停止処分が下されることになった。

 当事者となった横山武騎手は翌日、有馬記念を勝ったものの、勝利インタビューでは、「不甲斐ない騎乗により騎乗停止になり、有馬記念を勝てて嬉しいですが、心の底から喜べないのが残念です」と、その苦しい胸の内を明らかにしている。

 そんな横山武騎手に今回、リベンジの機会がやってきたようだ。

横山武騎手に舞い込んだリベンジの機会

 初戦2着の後、ノーザンファーム天栄へ放牧に出されていたヴァンガーズハート。先月美浦に帰厩し、今週12日に中山で開催される芝1800mの未勝利戦で復帰することが予定されている。鞍上には賛否両論があったものの、再び横山武騎手が抜擢されたとのことだ。

 前回、苦杯をなめさせられた相手であるルージュエヴァイユは、続くデイジー賞(1勝クラス)も勝利して現在2連勝中。また3着だったハピネスアゲンも次戦でしっかりと未勝利を勝ち上がっている。

 ヴァンガーズハートも今の未勝利戦では力が上と思われるため、今回はあっさりがあっても不思議ではないだろう。豪華ラインナップが控える春のG1戦線が開幕する前に、横山武騎手にはしっかりと“禊”を済ませて欲しいところである。

 ただ、1つだけ気になる点も存在している。

 放牧先でもトレーニングが積まれていたヴァンガーズハートだが、1月下旬に喘鳴症、いわゆるノド鳴りを発症。一般的には手術が行われるものの、復帰までに時間を要することから、陣営は手術を回避して続戦することを決めたそうだ。

 調教での息遣いは、音こそあるものの、そこまで気にはならなかったようだが、実際のレースに行って影響が出てくるようであれば、最悪惨敗する可能性も否定できそうにない。

「初戦を勝てていれば手術にも踏み切れたと思うのですが、結果的には横山武騎手が期待馬の今後に大きな影響を与えてしまった可能性もありますね」(競馬誌ライター)

 今春のG1シリーズで間違いなく主役を務めるだろう横山武騎手。後顧の憂いなく大レースに挑戦し、心の底から勝利を喜ぶことができるだろうか。

(文=冨樫某)

<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。

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