JRA 香港チャンピオンズCデーまさかの「日本馬NG」で関係者も大困惑!? それでもファンにとっては「メリット大」なワケとは
約2年前から日本のみならず世界中を混乱の渦に巻き込んでいる新型コロナウイルス。現在はオミクロン株という変異株が登場し、日本各地で感染者が相次いでいる。
一方で、まん延防止対策の効果がジワジワと効き始めて、最近の感染者数は依然多いものの、前週の同じ曜日から下回ることが増えてきた。この流れが続けば、また競馬場の入場人数が増加するなどの嬉しい出来事が起こるかもしれない。
ただ、日本と異なり予断を許さない緊迫した状況となっているのが、海を隔てた隣の香港だ。香港では新型コロナの感染者数が急増しており、重症者や死亡者の人数が多く、大流行といっても過言ではない。
そんななか9日、香港ジョッキークラブはシャティン競馬場で開催される香港チャンピオンズデーに日本を含めた外国馬が参戦できないことをJRAに通達した。同クラブのブレスゲスCEOは、香港において新型コロナ感染が急激に拡大したため、これまで行ってきた主要関係者のバブル方式による開催の維持が不可能になったためと理由を明かしている。
これにより、日本馬が同日に開催されるチャンピオンズマイル(G1)、チェアズマンズスプリント(G1)、クイーンエリザベス2世C(G1)などのG1に出走する道は断たれた。
それゆえ香港遠征を予定していた多くが今春のローテーションの練り直しを余儀なくされるだろう。その1頭が今週末の金鯱賞(G2)に出走予定のレイパパレだ。
金鯱賞を挟んで来月24日のクイーンエリザベス2世Cへ向かうローテーションだったが、管理する高野友和師は『サンケイスポーツ』の取材を通して「行く選択肢がゼロになりました。今後は未定です」と、予定が白紙になったことを吐露した。
他には2019年の朝日杯FS(G1)を制したサリオスが今月末の高松宮記念(G1)をステップに、チャンピオンズマイル(G1)またはチェアズマンズスプリント(G1)に出走する見通しだったが、今回の措置で別のローテーションを組むことを強いられる。
■香港出走不可が意味するもの
レイパパレら香港遠征を予定していた日本馬にとって、寝耳に水となった今回の通達。競走馬の調整は一朝一夕で出来るものではないため、ローテーションの変更は陣営や関係者の頭を悩ますことになるだろう。
他方で今回の香港ジョッキークラブの決定も、日本の競馬ファンにとっては良いことがあると考えられている。
「香港遠征を予定していた多くの馬は、おそらく国内レースに専念する方向に舵を切ると思います。
そうなると、近年の海外遠征の盛況化でメンバーレベルの低下が叫ばれていた国内G1ですが、久しぶりに豪華な顔触れが揃う可能性も出てきます。クイーンエリザベス2世Cを予定していた馬は大阪杯(G1)または天皇賞・春(G1)を目指すことになると思います。
また、チェアズマンズスプリントに出走できない馬は高松宮記念に一本集中するはずですから、よりハイレベルなレースが見ることができるはずですよ。安田記念(G1)もそうですね。チャンピオンズマイルがないため、自ずと春のマイル王決定戦に全集中するでしょう。
関係者の方々には気の毒ですが、ファンにとってはメリットが大きいのかなと感じています」(競馬誌ライター)
コントレイルらスターホースが去って少々物寂しさを覚える今日の日本競馬だが、久々に胸躍らせる熱いレースが今春見られるかもしれない。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……
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