JRA G1未勝利の中堅騎手が「9年越し」のリベンジへ! スプリングS(G2)かつて主戦を務めたG1馬の息子で優先出走権獲得なるか
20日、中山競馬場でスプリングS(G2)が行われる。最後の皐月賞トライアル競走に特別登録の時点で15頭がエントリーしている。
16日現在、『netkeiba.com』の単勝予想オッズで1~3番人気と高い支持を集めているのが、アサヒ、アライバル、アルナシームの3頭。いずれもメンバー上位クラスの決め手を秘めているだけに、皐月賞トライアルのハイレベルな一戦でも結果を残しそうだ。
その一方で、不安材料もある。
アサヒは前走の共同通信杯(G3)で出遅れてしまい、そこで生じたロスが結果にも響いて5着に敗れた。出遅れた経験は前走以外にもあるため、今回もスタートで後手を踏む可能性はある。
また、アライバルは前走初めての中山コースで4着に敗退。レース後に鞍上のC.ルメール騎手が「広い競馬場の方がいいと思う」と発言していることから、中山は向いていないのかもしれない。
アルナシームはかねて気性の難しさが指摘されており、昨年の東京スポーツ杯2歳S(G2)では当時の鞍上の武豊騎手の指示を無視し、暴走気味に進出したことがあった。最近は改善が見られるが、危うさが完全に拭いきれていない。
以上の点から、上位人気が想定される馬たちに付け入る隙は十分あるはず。
それゆえ狙うとするならば、配当妙味のある人気薄が予想される馬になる。なかでも面白い存在となりそうなのが、11番人気想定のエンギダルマ(牡3歳、美浦・手塚貴久厩舎)ではないだろうか。
エンギダルマは前走の未勝利戦を勝ったばかりのルーラーシップ産駒で、実績では人気馬に劣ってはいるが、血統背景はメンバー屈指。何と母は2013年の桜花賞(G1)優勝馬アユサンなのだ。
そんな良血馬にとって皐月賞(G1)出走がかかる大事な一戦の鞍上に抜擢されたのが、丸山元気騎手である。そして、同騎手を紹介する上で欠かせないのが、やはりアユサンの存在になるだろう。
丸山騎手はかつてアユサンの主戦騎手を務めており、デビュー2戦目で初めてコンビを組んだことをキッカケに、全8戦中6戦を同コンビで走った。
しかし、アユサンが桜花賞を制したときの鞍上は丸山騎手ではなかった。
「桜花賞でも騎乗予定の丸山騎手でしたが、残念ながら前日に落馬による負傷で騎乗ができないことに……。当時来日中だったC.デムーロ騎手が乗ることになるのですが、7番人気の伏兵ながら勝利します。
次戦のオークス(G1)から再び丸山騎手に戻りますが、4着で2冠ならず。その後は故障なども重なって、桜花賞のような走りができず4歳春のレースを最後に引退することになりました。
丸山騎手は現在もG1未勝利であるため『前日に落馬していなければ……』と思ったこともあるかもしれません。それだけに是非アユサンの産駒でクラシックに挑戦して、桜花賞のリベンジを果たしたいと思っているでしょう」(競馬誌ライター)
アユサンはチューリップ賞(G3・当時)3着から1冠目の出走をモノにした。エンギダルマも母同様にトライアルで優先出走権を得て、1冠目への切符を掴むことができるだろうか。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……
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