
JRA圧倒的「ルメール不足」が桜花賞戦線を直撃!? 乗り替わった騎手が足の引っ張りあい……「重賞19連敗」でもいて欲しかった名手の存在感

先月末、サウジアラビアのキングアブドゥルアジーズ競馬場で行われたサウジカップデーで4勝3着1回の大活躍だったC.ルメール騎手。賞金配分が5%の日本と違い、倍の10%ということもあり、わずか1日で日本円にして5000万円という荒稼ぎに成功した。
その一方で国内ではとても好調とは言い難い成績が続いていたことも事実だ。昨年12月のチャレンジC(G3)をソーヴァリアントで勝利して以降、直近のフェブラリーS(G1)まで重賞レースを19連敗中。異国の地で神騎乗を連発しただけに、帰国しての復帰にファンの期待も大きかったに違いない。
ただ、PCR検査で新型コロナウイルスの陽性反応が出たため、復帰が先延ばしになるアクシデントに見舞われたのが先々週のこと。名手不在で行われた中山開催は、各陣営に少なからず影響があったようにも感じられた。
中でも圧倒的に「ルメール不足」が顕著な結果となったのは、13日のメインレース・アネモネS(L)ではないだろうか。
出走メンバー14頭に対し、これまでルメール騎手が手綱を取ったことのある馬は、勝ち馬のクロスマジェスティをはじめ、ラズベリームース、ビジュノワール、ウィズグレイスの4頭もいた。
クロスマジェスティについては、武藤雅騎手とのコンビでデビュー2戦を連敗していた馬だった。前走はルメール騎手の手綱で勝利したが、8番人気で再び巡ってきたチャンスを武藤騎手がモノにした印象だ。
これに対し、敗れた残りの3頭はルメール騎手を背にデビューした馬で、レースでも3番人気以内を独占した実力馬ばかりである。それぞれルメール騎手が勝利に導いていた馬だが、他の騎手が乗り替わった結果はそれほど褒められた内容ではなかった。
レース後のコメントでも、お互いに足を引っ張りあう格好となっていたのが顕著だ。
ラズベリームースに騎乗した津村明秀騎手は、「勝ち馬とはスムーズに捌けた分の差」「1番人気の後ろでレースをしましたが、なかなか動かなかったので前との差が広がった」とコメントした。
そして動かなかった1番人気とは、横山武史騎手が騎乗して9着に敗れたウィズグレイスのことだ。中山のデビュー戦を敗れた際、ルメール騎手が「東京なら勝てる」、2着に敗れた前走のセントポーリア賞(1勝クラス・芝1800m)では、「距離も2000mの方がいい」と評していただけに、1ハロン短縮の中山で能力を発揮できなかったか。
5着のビジュノワールは、デビュー戦を好位から押し切ったルメール騎手から大野拓弥騎手に乗り替わった前走のフェアリーS(G3)で3着に惜敗。スタートは悪くなかった馬を後ろに下げたものの、スムーザさを欠き、直線半ばで大外に出す競馬で敗れていた。
そういった影響もあってか今回、戸崎圭太騎手が騎乗したとはいえ、本人も「後方からになったので外を回す雑なレースになりましたが、能力だけで5着まで来てくれました」と振り返る残念な騎乗だった。
スタートで後手を踏むと行きたがるパートナーを押さえて、道中最後方から大外を回して差を詰めただけ。これでは上がり3ハロン最速の33秒9を駆使しても、前半のロスが大き過ぎたと思わざるを得ない。
レース展開としても、2番手から抜け出したクロスマジェスティに絶好のスローペースであり、流れを読んで勝利した武藤騎手との明暗がより目立つ格好となった。
アネモネSは、2着以内の馬に桜花賞(G1)の優先出走権が与えられるトライアルレースでもある。乗り替わった騎手の騎乗ぶりを考えると、ルメール騎手ならどう乗っていたのだろうかと思わずにいられない。
(文=黒井零)
<著者プロフィール>
1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。
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