JRA【スプリングS(G2)展望】武豊×強運「ウマ娘」オーナーの5億円馬ドーブネVS「重賞連敗中」C.ルメール期待の素質馬
20日、中山競馬場では皐月賞トライアルのスプリングS(G2)が行われる。注目は『ウマ娘プリティーダービー』(Cygames)を展開するサイバーエージェント社長の藤田晋氏が所有するドーブネ(牡3歳、栗東・武幸四郎厩舎)だろう。
藤田氏が馬主として競馬界に参入したのは昨年。大きな話題となったのが昨年5月の千葉サラブレッドセールでのこと。同セール史上最高の5億1711万円(税込)という破格の金額で落札したのがドーブネだった。
昨年9月の札幌で武豊騎手を背にデビューしたドーブネは、スタートで遅れて中団後方からの競馬となったが、見事な差し切り勝ち。藤田氏にうれしい馬主初白星をプレゼントした。
続くききょうS(OP)は吉田隼人騎手に乗り替わり、今度は果敢にハナを切ると、逃げ切って2連勝を決めた。無敗のまま挑戦した朝日杯FS(G1)は、再び後方からの競馬となり、道中は末脚を温存。直線にかけたが、伸びを欠き7着に敗れた。
デビューから1400~1600mを使われているように、おそらく将来的にはマイル路線に進むことが濃厚だろう。それでも1800mに距離を延ばしてきたのは皐月賞(G1)を見据えているからに他ならない。もし権利獲りに成功(3着以内)すれば、牡馬クラシック第1弾に矛先を向ける可能性は高い。
試金石ともいえる一戦で手綱を取る武騎手。1週前追い切りに騎乗し、6ハロン79秒8-ラスト11秒8の好タイムをマークした。武騎手は『サンケイスポーツ』の取材に、「結構久しぶりに乗ったけど、相変わらず動きはいいね。今日のようなテンションでいけたら、1800mも問題ないと思う」と、距離延長にも不安を見せなかった。
藤田氏は初年度に所有した5頭のうち4頭が中央で勝ち上がり、3頭がオープンクラスで走っている。強運のルーキーオーナーはいきなり牡馬クラシックに所有馬を送り込むことができるだろうか。
そんなドーブネに立ちはだかるのは重賞2着の実績がある面々だ。中でも昨夏の新潟2歳S(G3)でセリフォスに食い下がり、京成杯(G3)4着からの巻き返しを図るアライバル(牡3歳、美浦・栗田徹厩舎)に注目だ。
昨年6月の新馬戦を快勝後、新潟2歳Sでは1番人気に支持されたが、セリフォスに不覚を取った。さらに4か月半ぶりの実戦となった前走は中団から直線伸びきれず、痛恨の連敗を喫した。
それでも前走から1ハロンの距離短縮と、ひと叩きされた効果で今回は首位争い必至だろう。
鞍上は今年のJRA重賞で11戦全敗のC.ルメール騎手。先月26日のサウジCデーでは重賞4勝の固め打ちを見せたが、帰国後に新型コロナの陽性が判明し、休養していた。春の訪れで気温もグングン上昇中。G1シーズンの到来を間近に控え、アライバルとともに復活の狼煙をあげたいところだろう。
年明けのシンザン記念(G3)2着以来となるソリタリオ(牡3歳、栗東・西村真幸厩舎)は、デビューから5戦連続で連対中という安定感を武器としている。相手なりに走るタイプで、ここでも大きく崩れることはないだろう。
懸念があるとすれば、これまで東京、新潟、中京の左回りコースしか経験していないこと。初の右回りを難なくこなせるかどうか。デビュー6戦目で6人目の鞍上となる横山武史騎手の手綱さばきに注目が集まる。
昨秋の東京スポーツ杯2歳S(G2)2着のアサヒ(牡3歳、美浦・金成貴史厩舎)も有力な1頭だ。
勝ち上がりには3戦を要したが、重賞初挑戦となった東京スポーツ杯2歳Sでイクイノックスの2着に好走。2番人気に推された前走・共同通信杯(G3)は、スタートで遅れると最後方からダノンベルーガに次ぐメンバー2位の33秒8の末脚で5着に追い込んだ。
休み明けを一度使われた上積みと、これまで対戦してきたメンバーレベルからここでも互角に戦える実力は持っているはずだ。
昨秋の京都2歳S(G3)で2着に逃げ粘ったビーアストニッシド(牡3歳、栗東・飯田雄三厩舎)は、デビューから5戦すべてで人気を上回る好走を続けている。特に近3走は重賞で2、4、3着に善戦しており、ここも人気がないようなら絶好の狙い目となりそうだ。
この他には、2走前の朝日杯FS(G1)でジオグリフに先着する4着に入ったアルナシーム(牡3歳、栗東・橋口慎介厩舎)、前走ホープフルS(G1)は13着に大敗も3番人気に推された素質馬のサトノヘリオス(牡3歳、栗東・友道康夫厩舎)、デビュー3戦目で初勝利を挙げた桜花賞馬アユサンの産駒、エンギダルマ(牡3歳、美浦・手塚貴久厩舎)など、個性豊かなメンバーが集いそうだ。
皐月賞、NHKマイルC(G1)へとつながる一戦を制するのはどの馬になるのか。混戦模様のスプリングSは、20日15時45分に発走予定となっている。
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