JRA大逸走→最下位の屈辱から「8馬身差」逃げ切りVの大変身! 代役の“パンサラッサ級”逃走劇に、主戦の「逃げ職人」も心中複雑!?
「リズム良く競馬が出来ましたし、強かったです」
26日、中山競馬場で行われた6Rの3歳1勝クラスは、菅原明良騎手の3番人気ショウナンマグマ(牡3、美浦・尾関知人厩舎)が鮮やかな逃げ切り勝ちを決めた。
ジョッキーの「強かった」という言葉通り、そのレース内容はまさに“圧巻”だった。
12頭立ての芝1800mで行われたレース。内目の4番枠から好スタートを切ると、そのままハナへ。前半1000m通過タイム1分0秒2のミドルペースのなか、軽快な単騎逃げでレースを引っ張ると4コーナーで後続がギュッと押し寄せて馬群が固まり、リードがなくなったところで最後の直線を迎える。
しかし、ここからショウナンマグマが驚異の粘りを発揮する。
一度は詰め寄られた後続との差を、直線のラストスパートで再び突き放す二枚腰を見せると、中山最後の急坂でもバテることなくグングン差を広げ続け、終わってみれば2着に8馬身差をつける圧勝だった。
内容も然ることながら、今回はテン乗りとなった菅原明騎手の好騎乗も光った。レース後には「(尾関)調教師からは、ハナでも良いと言われていました。スタートを上手に出たので、ハナに行きました」と振り返っており、陣営からの作戦を遂行した事で思わぬ大変身を演出した。
乗り替わり直後に驚きの大楽勝を飾った一方、デビューから前走まで欠かさず手綱を握ってきた吉田豊騎手にとっては、どこか心中複雑な想いがあっただろう。今回は「令和のツインターボ」との呼び声高いパンサラッサと共にドバイターフ(G1)へ挑むため、鞍上交代を余儀なくされていたからだ。
「吉田豊騎手とショウナンマグマといえば、思い出されるのは重賞初挑戦となった2走前のきさらぎ賞(G3)です。スタート直後は良かったのですが、1コーナー辺りで急にかかりだし、他馬を遮るように外側に斜行。そこからドンドン外へ膨らんでいき、完全に“逸走”状態となっていました。
レース後には、鞍上も『他の馬に迷惑をかけてはダメですね……。あれでは厳しいです』と嘆いていた通り、1頭だけまるで競馬になっていませんでしたし、終始良いところなく最下位に終わっています。あれは苦い経験だったでしょうね。
そんな気性面を考慮してか、前走は距離を短縮してきましたが、最後の直線まで鞍上が抑えるのに精一杯な感じは変わっていませんでした。やはり距離云々というより、気分良くいけるかどうかが最大のポイントだったのかもしれません。
結果的に今回は陣営の作戦にもあったように、菅原明騎手がハナに行かせたことで、難しいところはあまり見られませんでした。馬の気持ちに任せて気分良く逃げたことで、持ち味が発揮されたようですね。
吉田豊騎手にとっては、デビューからずっと競馬を教えてきた馬でしたから、この圧勝劇に対しては少々歯痒い気持ちもあるのではないでしょうか」(競馬誌ライター)
日本時間26日の夜間から27日の朝方にかけて行われていたドバイターフでパンサラッサを勝利に導いたように、逃げ馬の騎乗には以前から定評がある吉田豊騎手。次走で手綱が戻るかは定かではないが、次回の騎乗機会があれば迷いなく逃げるシーンが見られるだろうか。
(文=ハイキック熊田)
<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?
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